「iPhone 11」シリーズを試す カメラは“超広角が加わっただけ”ではなかった(2/4 ページ)
iPhone 11シリーズ3機種は、超広角カメラに対応しているのが最大の特徴。ただし、複眼カメラは画角を変えるためだけに使用されているのではない。このカメラに加え、デザインやパフォーマンスも含めてレビューする。
13mmの超広角カメラが加わり、操作性も大きく進化したカメラ
最も大きく変わったのは、やはりカメラだ。先代との比較で言うと、iPhone 11とiPhone 11 Pro Maxのどちらにも、新たに35mm判換算で13mmの超広角カメラが加わっている。これまでの広角カメラが26mmだったため、ちょうど0.5倍にズームアウトできる計算だ。これに伴い、カメラのUI(ユーザーインタフェース)も変わり、iPhone 11は画面に「.5」と「1」が、iPhone 11 Pro Maxは「.5」「1」「2」と書かれたボタンが表示されるようになった。
13mmの超広角カメラで撮った写真は、ダイナミックで迫力がある。広角度合いでは魚眼レンズに近いが、ソフトウェアでしっかり補正されているためか、左右のゆがみは少なく、広々とした絵に仕上がる。風景写真を撮るときに、積極的に活用したい画角といえる。
iPhone 11シリーズでは、広角カメラを起動した際にも、超広角カメラで撮れる写真を確認できる。広角カメラで撮るときには、左右がやや暗くなっており、「.5」のボタンを押すとそこが明るくなって超広角カメラに切り替わる仕掛けだ。あらかじめ仕上がりが分かるため、どちらのカメラを使えばいいのかが分かりやすい。
文字にすると簡単なことに聞こえるかもしれないが、13mmと26mmのカメラの映像をしっかりと合わせておかないと、映像が破綻してしまう。カメラの位置がややズレている上に、ゆがみなどのレンズ特性も異なることを考えると、シンプルに見えて意外と実装には手間がかかりそうだ。こうしたUIのディテールにこだわっているのは実にiPhoneらしいところで、実際に使い勝手もいい。超広角カメラはHuaweiやSamsungの後追いではあるが、それだけに、細部まできっちり仕上げてきた格好だ。
その真骨頂を体感できるのが、ズームリングで細かく倍率を調整したときだ。一般的に、スマートフォンのデュアルカメラやトリプルカメラは、センサーごと切り替えているため、どうしてもその瞬間に映像の画角が大きく変わってしまう。仕組みを知っていると、「ここでセンサーを変えたな」と分かる瞬間だ。
これに対し、iPhone 11シリーズのズームは、お世辞抜きでスムーズ。物理的にカメラそのものを切り替えているにもかかわらず、あたかもズームレンズを使っているかのように、シームレスな調整を行える。動画でもズームがきちんと使えるのは、このスムーズさがあってこそ。13mmから26mm、52mmまで滑らかに切り替えられるため、動画撮影の幅も広がる。iPhone 11 Proと11 Pro Maxが“プロ用”をうたうのは、こういったところに理由がある。
ちなみに、iPhone 11シリーズのデュアルカメラ、トリプルカメラは単に画角を変えるためだけに使用されているのではない。フォーカスの追従や色合わせなどのために、同時にカメラを活用している他、裏で超広角カメラのデータを残しておき、後から編集に利用することも可能だ。この機能は、標準の設定だと動画のみオンになっているが、便利なため、静止画もオンにしておくといいだろう。傾きの補正に使えたり、写っていなかった被写体の外側を後から表示させることができたりと、非常に便利な機能といえる。
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