新生「OCN モバイル ONE」は格安SIMのシェア1位を奪還できるのか?:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
「OCN モバイル ONE」が11月20日に料金プランを刷新。通信品質の改善も図る。一時はMVNOのトップシェアを誇っていたOCN モバイル ONEだが、競争の激化に伴い、シェアを徐々に失っていた。ライバルのUQ mobileやIIJmioに勝てる見込みは?
MVNOサービスとして「OCN モバイル ONE」を運営するNTTコミュニケーションズは、11月20日に料金プランを刷新。「OCN光モバイル割」適用時に最低価格が月額980円(税別)になる、新たな料金コースを発表した。従来のコースも継続して申し込めるが、新コースでは同社の特徴だった1日ごとの容量が決まっていた「日別コース」を廃止。ドコモから借りる帯域も、新旧で分けていく方針だ。
一時はMVNOのトップシェアを誇っていたOCN モバイル ONEだが、競争の激化に伴い、シェアを徐々に失っていた。ユーザー層の変化に対応しきれなかったことも、失速の要因といえる。新コースではこうした状況を挽回し、シェアトップへの返り咲きを狙うという。
シェア1位から転落したOCN モバイル ONE、直近ではシェア4位が定位置に
一時はトップシェアを誇っていたOCN モバイル ONEだが、そのシェアは徐々に低下していた。調査会社のMM総研が発表している「独自サービス型SIMの事業者シェア」によると、2019年3月末での回線数は134.7万回線。シェアは10.3%で、楽天モバイル、UQ mobile、IIJmioに次ぐ第4位につけている。回線数は100万を超えており、改正電気通信事業法の対象になる大手MVNOだが、年々、その順位を落としていることも事実だ。
2018年3月末は11%のシェアで第3位、2017年9月末は12.2%で2位と、シェアと順位がともに低下している傾向が見て取れる。同調査では、2017年3月末までOCN モバイル ONEが首位で、シェアも17%と高かった。こうした事実を踏まえると、2年前から失速傾向にあることが見て取れる。曲がり角に差しかかっているとの指摘はあるが、MVNO市場はいまだ成長市場。OCN モバイル ONEも、ユーザー数自体は拡大している。
シェアや順位を落としているのは、競合他社が、それ以上のペースで伸びているからだ。逆の見方をすると、この2年のトレンドにキャッチアップできていないともいえる。2年間で急伸したMVNOは、楽天モバイルとUQ mobile。MM総研のデータには含まれていないが、「格安SIM」市場というくくりでいえば、Y!mobileも大きく成長している。他キャリアの展開するサブブランドの影響が、OCN モバイル ONEを直撃したといえそうだ。IIJmioも同様にシェアを落としているものの、3位はキープできているため、サブブランドとはすみ分けができている可能性がある。
他の調査会社のデータも、ほぼ同じ傾向を示す。OCN モバイル ONEの発表会に登壇したMMD研究所の代表取締役の吉本浩司氏は、「OCN モバイル ONEはMVNOの中で、ここ数年4番目の位置をしっかりキープしている」と語る。同社の行った満足度調査を見ると、1位のmineo、2位のIIJmioに次ぐ3位につけている一方で、トップに挙がっている項目はgoo Simsellerによる「端末ラインアップ」や「端末のお得さ」のみ。コストパフォーマンスやデータ通信の品質・安定性といった部分では、他社の後塵を拝している状況がうかがえる。
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