Xiaomiの上陸で日本のスマホ市場はどう変わるのか?:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
中国のXiaomiがいよいよ日本に上陸する。Xiaomiのスマートフォンは主に「Mi」「MiMIX」「RedMi」の3ラインに分かれており、直近では1億画素カメラを搭載した「Mi Note 10」が大きな話題を集めている。同社は分離プランが義務化されたことをチャンスと捉えているようだ。
日本のSIMフリー市場を活性化させる
2019年10月1日に改正電気通信事業法が施行され、日本のスマートフォン市場は大きく変わろうとしている。キャリアが通信の継続利用を条件とした端末割引を行うことが禁止され、端末代金と通信料金が完全に分離された。これにより、端末の価格は従来よりも高く感じられ、スマートフォンの買い換え控えが起きるなど市場が冷え込むことも懸念されている。
しかし分離プランの義務化により、どのメーカーにも公平に新製品を投入できるチャンスが生まれた。今まではハイスペックなスマートフォンがキャリアとの2年契約で格安で購入できたため、海外でコストパフォーマンスの高い製品があっても日本市場では受け入れられにくかった。しかし端末値引きが制限された今、価格よりも製品の魅力そのものをどのように消費者に伝えるかという、メーカーの努力がより重要になる。
AppleがSIMロックフリーiPhoneの販売を家電量販店にも広げたのも、キャリアとのセット割引による販売数増が今後見込めなくなったからだろう。キャリアで買っても家電量販店で買っても端末価格は変わらないのなら、今や待ち時間1時間以上は当たり前のキャリアショップへ行くのを避け、家電量販店でSIMロックフリーのスマートフォンを購入する消費者の数も増えていくだろう。
Xiaomiが日本市場参入を決めたのも、分離プランの開始により自社製品を日本の消費者にアピールすることが可能になったからだ。「1億画素カメラ」は分かりやすい上に他社にはないXiaomiだけの特徴になる。日本のSIMフリー市場はまだ全体の10%程度(2018年、MM総研調べ)だが、分離プラン投入によりこの数字は今後しばらく増えていくだろう。またMVNOにとっても、魅力的なSIMロックフリー端末はセット販売で契約者を獲得できる大きな武器になる。
Xiaomiに限らず世界シェア上位の中国メーカー、Huawei、OPPO、Vivoはスマートフォンの新製品投入サイクルが早い。上位モデルでも半年でモデルチェンジをしたり、派生モデルを投入したりすることは珍しくない。1製品あたりの生産台数は大手メーカーのトップセールスモデルより少ないが、その分、小回りの利いた製品展開が可能だ。
Xiaomiは1億画素カメラといった、日本の消費者でも興味を引くハイスペックな製品を展開していくだろう。性能に優れた製品を次々と日本市場に送り込めば、今のOPPOのように日本でも一定の認知度を獲得し、徐々にシェアを高めていくことは可能だろう。
そしてMVNOとの協業を経て、最終的に目指すのはMNO(キャリア)向けの5G端末であるはずだ。2020年は各メーカーが5Gスマートフォンに力を入れていくが、Xiaomiにとっても5G開始元年となる日本市場の動きは十分見ているに違いない。
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