「OCN モバイル ONE」新料金プランの狙いを聞く C向けeSIMサービスも検討中:MVNOに聞く(3/4 ページ)
NTTコミュニケーションズが、「OCN モバイル ONE」の料金プランを一新した。かつてはMVNOでシェアトップを誇っていたOCN モバイル ONEだが、ここ数年は「4位」が定位置になりつつあった。「シェア1位の奪還」を目指す同社に、新プランの狙いを聞いた。
昼間のピーク時よりも、夕方のパケットロス解消を優先
―― ちなみに、2段階目の制限に関しては速度を発表されていません。具体的には、どのぐらいになるのでしょうか。
木藤氏 制限を入れた後、どのぐらいのお客さまが低速通信を使うのか、しきい値を超える方がどのぐらいいるのか、後は全体の帯域を見て(速度は)チューニングしていきたいと考えています。最大200kbpsの範囲でチューニングしていく予定で、その範囲で制限する可能性があります。
―― 「最大200kbps」ということですが、新コースであまり低速通信が使われなければ、2段階目の速度制限が行われた場合でも、限りなく200kbpsに近づくということでしょうか。
木藤氏 そういったことはあると思います。制限をする必要があまりなかったときは、調整することになると思います。ただし、今の段階ではある程度速度を落とし、常時接続するようなところには制限を入れています。一方で、ライフラインとして、LINEのようなメッセンジャーができないぐらいまでの速度制限はしないようにしています。
―― 制限中は、バースト転送も切られるのでしょうか。
木藤氏 バースト転送は効くようにしています。
―― 帯域対策という側面が大きいと思いますが、どの辺を落としどころと想定していますか。例えばお昼休みの時間に1Mbpsなど、何か具体的な数値目標があれば教えてください。
木藤氏 どちらかと言うと、昼間のピーク時よりも、夕方のパケットロス解消を最優先で目指しています。昼間はどのMVNOも苦しんでいて、結構きつい状況になっています(苦笑)。そこを改善したい気持ちはありますが、第一として、まずは夕方のパケットロスを減らしていきたい。今は、そこでも1Mbps出ていない状況になっていますからね。最低限、そこは改善したいと考えています。
―― 帯域を分けたということは、まだユーザー数もそこまで多くないと思います。今ならお昼のピークでも速度が出るということはあるのでしょうか。
木藤氏 ありえます。ただし、おかげさまで新規のお客さまにも入っていただけています(そのため、速度は徐々に低下していく可能性が高い)。
月間3GBがボリュームゾーンだけど1GBプランも新設
―― 新コースは1GB、3GB、6GB、10GB、20GB、30GBという刻みですが、ボリュームゾーンはどこになるのでしょうか。
木藤氏 現状で多いのは、日次コースの110MBや、月次コースの3GBで、そこがボリュームゾーンになっています。その比率は、新コースでもあまり変わらないと見ています。ただし、3GBを契約していた方が1GBに流れてしまうといったこともありそうです。
―― そうなると、収益的には厳しい方向になりますが、あえて1GBコースを作った理由はどこにあるのでしょうか。
木藤氏 おっしゃるように、サービスをリリースするうえで、そこがネックになりました。既存のユーザーが1GBに流れてしまうことは、懸念事項です。とはいえ、今まで3GBを契約して、実際には1GB程度しか使っていない方もいました。そういった方が、1GBコースがないことで他社に流れてしまうケースもあったため、一時的な収益減にはありますが、長く使っていただけることを重視しました。
かけ放題のニーズはあるが、850円はハードルが高い
―― 新コースでは、10分間のかけ放題オプションも12カ月間300円で提供します。音声通話のニーズは高いのでしょうか。
木藤氏 かけ放題へのニーズは、やはり一定水準あります。ただ、850円はなかなか出しづらい。300円なら、「契約してもうちょっと電話してみよう」ということもあると思います。実際、サービスを検討したときに行った調査でも、300円なら契約したいという声が多かったですね。そこでキャンペーンとして300円で提供することにしました。
―― さすがに期間限定でないと、この価格は厳しかったのでしょうか。
木藤氏 ずっとは厳しいですね。まず300円で試してもらい、850円払う価値があるかどうかや、音声の品質を確かめていただき、満足したうえで選んでいただきたいと考えています。
―― 今、総務省で音声通話値下げの議論が進んでいますが、あの動きがあったとき、何か価格に影響はありますか。
木藤氏 あれは「090」や「080」などの音声通話の卸金額を下げてくれという話で、(中継電話サービスである)OCN電話は、まったくコスト構造が別です。自社設備で接続しているので、直接の影響はありません。ただし、「090」「080」などの卸の金額が下がったり、音声定額を卸したりしてもらえるようになれば、MVNOとしてそれをユーザーに提供することが可能になります。ですからこの2つは、別軸で見ていきたいと思います。
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