Xiaomiは日本市場で成功するのか? カギを握るのは「5G」と「改正法」:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
Xiaomiが、1億800万画素のカメラを搭載した「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」を引っ提げ、日本に上陸した。このタイミングで参入したのは、市場が変化する“節目”を狙っていたことがうかがえる。2020年春に開始する5Gと、2019年10月の電気通信事業法改正だ。
ミドルレンジモデルの拡充や、FeliCa対応、キャリア市場への進出も視野に
その意味で、Xiaomiの本領を発揮できるのは、より安価なミドルレンジモデルを拡充したときといえそうだ。ワン氏も「将来的にはさらにSKUを増やしていきたい」と、より安価な端末の投入に意欲を見せる。SIMロックフリースマートフォン市場に照準を合わせるのであれば、MVNOとも協力しつつ、より廉価な端末を広げていく必要がありそうだ。
同じく約2年前に新規参入を果たしたOPPOは、すぐにおサイフケータイに対応するなど、ローカライズにも積極的な姿勢を見せていた。その成果を生かした「Reno A」は、コストパフォーマンスの高さが評価され、品切れが続出するほどのヒット端末になった。Xiaomiのワン氏も「ローカライズに対応していくのは正しい」と、日本専用のカスタマイズを行う可能性を示唆する。
ただし、「商品開発には1年ぐらいの時間がかかる」というように、参入直後はグローバル版からカスタマイズを最小限にとどめた端末の投入が中心になるようだ。「おサイフケータイは日本でしか使えないため、日本モデルをどう考えるかは検討してきたい。FeliCaは日本のエンジニアしか知らないことも多く、これもわれわれが勉強しなければいけない」というのも、開発に時間を要する理由といえる。
その先には、大手キャリアとの取引も見据えていることがうかがえる。ワン氏は「既にキャリアとはやりとりしている」としながら、次のように語る。
「ワールドワイドでビジネスを展開しているが、日本のキャリアは認証なり、テストなりが世界で一番厳しい。また、キャリアが販売するラインアップは、すでに来年(2020年)上期のものまで決まっている。われわれは、その次のモデル(下期に発売される冬モデル)に関しての話を進めている」
日本での目標は、「まずは消費者に知ってもらうことが第一。具体的に何パーセントというような形では決めていない」という。ただし、将来的には、シェアベスト5を目指す考えはあるようだ。ワン氏は「リーズナブルで高スペックのものを提供していることを浸透させていきたい。スマートフォンは90の市場に進出し、42の国や地域でベスト5に入っている。日本でもそういった目標を掲げていきたい」と語る。
現状では端末のバリエーションが少なく、販路も限定的なため、シェアを上げていくにはまだまだ時間がかかる。一方で、ワン氏の言うように、参入には絶好のタイミングで、端末のコストパフォーマンスは確かに高い。SIMフリー市場を見ると、シェア上位のHuaweiは米国の制裁で新モデルを投入しづらい状況になっている他、ASUSもミドルレンジモデルを縮小しているため、Xiaomiにとっては“下克上”のチャンスも大きい。日本での体制を迅速に強化していければ、シェアを伸ばせる可能性もありそうだ。
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