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インタビュー

“タフネス5Gスマホ”を2020年に投入する京セラ 強みは「ジャパンメイド」CES 2020(2/2 ページ)

京セラがCES 2020で5G対応スマートフォン開発を表明。5G高耐久スマートフォンおよびタブレットのプロトタイプを出展した。まずは米国で発売する予定だが、日本への投入も視野に入れている。京セラの5G戦略についてインタビューした。

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米国市場では中国メーカーより日本メーカーの方に優位性がある

―― 5Gスマホは、中国メーカーに価格面での優位性があるように思います。一方、米中摩擦により、中国メーカーの米国市場での展開が難しくなる可能性もあります。京セラのこのタイミングでの5G参入表明は、そうした状況にも関係しているのでしょうか?

飯野氏 米国市場において、われわれが日本メーカーである優位性はあると思います。しかし、単独でそれが理由になっているわけではありません。結果として、われわれが信頼されていることが幾つかあります。例えば、品質。ハードウェアの品質も、ソフトウェアの品質もそうですが、さらに仕事の品質も評価していただいていると自負しています。開発中に何かが起きたときのレスポンスのスピードや対応、態度。売った後のお客さまの要望に対するレスポンスなど、3つの品質を信頼していただいています。国と国の関係もありますし、今の中国メーカーにそれができるか否かというと、難しいのではないかと。

京セラ
京セラインターナショナル 副社長の飯野晃氏

厳島氏 見方を変えると、若い人がスマホを買うときには、スペックと価格とデザインのバランスで買う端末を決めますよね? ところが、警察や消防などは、そうしたバランスで買うわけではありません。どういう目的で買って、どのくらいのコストをかけて、どのくらいの安定性で運用できるのか? 当然、セキュリティも重視されますし、中国製でいいのか? という問題があるでしょう。

京セラの強みは「ジャパンメイド」

―― タフネス端末を手掛けているメーカーは、京セラだけではないですよね?

飯野氏 米国向けにはサムスンが出していますし、ソニムという米国メーカーもあります。キャタピラーのブランドを借りてリリースしているCATも競合です。弊社を含む4社が主なプレイヤーです。

―― その中で、京セラの強みは、どこにあるのでしょうか?

飯野氏 やはり「ジャパンメイド」でしょう。われわれの端末は開発も製造も日本で行っています。何か起きたときのサービスも日本と米国で対応できます。また、手前みそになりますが、われわれの顧客対応力。他社よりも小回りが利いて、スピードも速く、真摯(しんし)に対応していることも、われわれの品質と自負しています。

塙氏 利用シーンや用途に合わせてカスタマイズできることも京セラ端末の強みです。

京セラ
腕に巻きつけて、エクステンションのカメラを取り付けられるモデルなど、多様なニーズに合わせてカスタマイズできることを提案
京セラ
5Gタブレットの試作機。顧客のニーズに合わせたアクセサリーを提供する計画
京セラ
ペンで入力できるデバイスや、受付などに設置できる据え置き型デバイスの発売も検討

5Gチップを搭載したから5Gスマホになるわけではない

―― 日本で発売されているTORQUEは、新モデルが出るたびに、タフネス性能が強化されています。5G端末では、さらに強化されることはあるのでしょうか?

飯野氏 あります。今は言えませんが、あります(笑)。

―― 他メーカーに比べて5G端末のリリースが遅くなる理由として、コストの問題を挙げていましたが、5G端末の開発・製造は、そんなにお金がかかるのですか?

厳島氏 そうですね。Qualcomm製の5Gのチップセットに差し替えたら、それで5Gになるというものではありません。それに合わせたメモリやバッテリー、熱対策など、5Gに最適化した材料をそろえて、検証しなければならないことがたくさんあります。

塙氏 いちばん難しいのはアンテナですね。スマホにはWi-Fiなど、他のアンテナも入っていますから、端末内での干渉の問題も解決しなくてはなりません。

―― アメリカでは、まだ4Gにつながらない場所もあります。5Gの端末には、3Gのアンテナも搭載するのでしょうか?

塙氏 全てを入れられるように準備していますが、実際の製品化においては、キャリアの要件に合わせることになります。

厳島氏 キャリアとしては、3世代のネットワークを維持するのは大変ですし、3Gを早く停波したいというのが本音でしょう。ですから、5G端末には3Gを入れないことになるとは思います。

―― 米国と日本で5G端末をリリースした後、他の国でも5Gビジネスを展開する計画はありますか?

厳島氏 タフネス端末のニーズは、どこの国にもあると思います。しかし、B2Bビジネスを展開するには、日本で作ったものをそのまま持っていけるわけではありません。電波法などの違いもありますし、国ごとのカスタマイズや戦略が必要になります。面を広げるためのコストがかかるビジネスです。まずは北米で、次に日本で、しっかりやっていきたいと思います。

京セラ
初出展ながら、多くの来場者から注目を集めていた京セラブース
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