dポイントかPontaか 決済事業でドコモとauの戦いが激化――2社の決算を読み解く:石野純也のMobile Eye(2/2 ページ)
NTTドコモとKDDIの第3四半期決算が出そろった。2社とも、料金値下げや純増数の低下に伴い、通信料収入は減少傾向にある。好調なのは非通信事業で、ポイントも含む金融・決済事業で、2社の戦いが激化しつつあることがうかがえる。
加盟店の切り崩し合戦も? 2社が奪い合うローソンやリクルート
au PAYを強化する一環としてLMに出資したKDDIだが、合わせてコンビニエンスストアのローソンとも資本業務提携を結んでいる。出資比率は、ドコモより0.01%多い2.1%になる。わずか0.01%の差だが、ドコモを上回ることでお株を奪った格好だ。
高橋氏は決算説明会の場で、改めて「ローソンとは単に提携しただけでなく、アプリケーションの連携やビッグデータをやりとりして、新しい体験価値を提供するところまでやる深い話をしている。その関係で、Pontaをいかによくしていくかに主眼を置いている」と語った。この言葉を文字通り受け取ると、ローソンという舞台の上で、あたかもドコモのdポイントとauのPontaが、シェアの奪い合いをしているようにも聞こえる。
対するドコモは、決算説明会でリクルートとの提携を発表し、意趣返しを果たした。2020年度の第3四半期から、リクルートのサービスである「じゃらん」や「ホットペッパーグルメ」「ホットペッパービューティー」で、dポイントの利用や蓄積が可能になる。合わせて、リクルートの子会社であるリクルートライフスタイルが提供する「Airペイ」が、4月をめどにdポイントに対応する。ネットとリアルの両面で、dポイントに対応していく格好だ。
リクルートは、Pontaを運営するLMに15%出資する主要株主の1社。上記のネットサービスでも、共通ポイントとして、Pontaを採用している。ドコモとの提携後は、Pontaとdポイントのどちらかを選択可能になる見込みだ。吉澤氏は「使える場所やお店、会員数で、リクルートさんの規模は非常に大きい。われわれの会員との連携が期待できる」と自信をのぞかせた。リクルートとは、「dポイント側とお客さまデータをうまく連携させて、マーケティングに活用していく」(同)と、データの活用も進めていく。
KDDIの高橋氏は、「リクルートさんも、Pontaだけでなく、(ポイントを)拡大したいという思いはあった。(ドコモとの提携は)何となく理解していたので、驚きはなかった」と語ったものの、Pontaの主要な加盟企業の1社が切り崩されたのは事実。一部のユーザーがPontaからdポイントに切り替えれば、その分、Ponta側のポイントの発行額や利用額は下がってしまう形になり、何らかの影響が出る恐れもある。
電気通信事業法が改正され、端末購入補助が抑制された結果、「流動性が低下し、解約率も下がっている」(同)。通信回線や顧客の奪い合いは沈静化した格好だが、代わりに、決済やポイント事業での競争が激しくなりつつあることがうかがえる。流動性が下がって浮いた販売コストを、加盟店開拓やキャンペーンに回せるといった事情もある。決済やポイントでのつばぜり合いは、今後も続く可能性がありそうだ。
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