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改正法施行後も“トリプルブランド”で乗り切ったソフトバンク 5Gの戦略は?石野純也のMobile Eye(2/2 ページ)

2019年10月から電気通信事業法が改正され、端末購入補助の上限が2万円に制限された。この競争環境の変化を、ソフトバンクは「トリプルブランド戦略」で乗り切ったという。5Gサービスでは4Gの周波数を5Gに転用する技術も駆使しながらエリアを構築していく。

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5Gは3月末に商用サービス開始、4Gの周波数も生かす

 3月末には、5Gの商用サービスが開始されることも明らかになった。宮内氏は、「まずはコンシューマーにどっと(5Gの波が)来ると思っている」と期待をのぞかせる。料金プランやサービスの詳細は改めて発表される予定だが、宮内氏は、他社と同様、完全定額のプランを検討していることを示唆した。

 「吉澤さん(ドコモの吉澤和弘社長)も、高橋(KDDIの高橋誠社長)さんもおっしゃっていたように、5Gの世界は、アンリミテッドにならざるを得ない。(4Gの)ウルトラギガモンスター+も、月を追うごとに使われるデータの量が膨大になってきているが、ライブでいろいろなものが見られる世界になると、そんなものでは済まないもっと膨大な情報を処理する世界がやってくる。何らかの料金プランは検討している」

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5Gの商用サービスは、3月末にスタートするという

 宮内氏が「最初はピンポイント」と語っていたように、当初のエリアは限定的になる見込みだ。一方で、エリアを一気に拡大し、2021年に人口カバー率を90%に上げていく方針だ。ソフトバンクが総務省に提出した開設計画では、2024年の基盤展開率(10km四方を4500の区間に分け、その中をカバーした割合)が64%と、90%を超えるドコモやKDDIを大きく下回っていたが、これは、あえて低めに抑えているという。

 エリアを構築するためのSub-6(6GHz以下の周波数帯)のうち、3社に割り当てられた3.7GHz帯は、「衛星との干渉があり、基地局の展開が難しい」(代表取締役 副社長執行役員兼CTO 宮川潤一氏)ためだ。「インドアなどの干渉がない場所では大いに基地局を作っていくが、道路や大きな面展開をするのが難しい」というのが、宮川氏の見立てになる。

 鍵となるのは、4G用に割り当てられた既存の周波数帯だ。総務省では、4Gの周波数を5Gに転用できるよう、準備を進めているが、「この解禁が前倒しになれば、なった瞬間に全面的に基地局を展開する」(同)という。4Gの周波数は現状で割り当てられている5Gより低く、帯域幅は狭いが、その分エリアを構築しやすい。周波数の共有方法にはいくつかの方法があるが、4Gと5G、それぞれが利用する帯域を動的に変化させる「DSS(ダイナミック・スペクトラム・シェアリング)」も、既に標準化されている。

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2019年12月に開催された「Snapdragon Tech Summit」で展示された、エリクソンのデモ。DSSで、帯域の割り当てを動的に変えていることが分かる

 宮内氏が「5Gは間違いなく爆発する」と語っていた背景には、このような事情がある。一方で、まだ5Gのサービスは具体像が見えていない。エリアが広がっても、ユーザーが買い替えるだけのメリットがなければ、普及は緩やかになりかねない。3月末のサービスインに合わせ、5Gならではの世界観をしっかり示すことが重要になりそうだ。

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クラウドゲームやVRが“5Gならでは”のサービスとして紹介された
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