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ベールを脱いだ「楽天モバイル」の本格サービス 料金プランや戦略を整理する(1/2 ページ)

4月8日に本格サービスを開始する「楽天モバイル」の料金プランが、ついにベールを脱いだ。プランは「Rakuten UN-LIMIT」と銘打った1種類のみで、月額2980円で楽天エリアでデータ通信し放題、KDDIのローミングエリアは2GBまで利用できる。スマートフォンは11機種が対応しているが、他の機種にも拡大していく。

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 4月8日に本格サービスを開始する「楽天モバイル」の料金プランが、ついにベールを脱いだ。

 プランは「Rakuten UN-LIMIT」と銘打った1種類のみで、月額2980円(税別、以下同)で楽天エリアは使い放題、KDDIのローミングエリアは2GBまで利用できる。さらに、300万人を対象に、月額料金を1年間無料とする。楽天の三木谷浩史社長は、2月の決算会見で大容量プランの提供をほのめかしていたが、まさにその通りとなった。

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楽天モバイルの料金プラン詳細

 3月3日に開催した発表会は、新型コロナウイルスの影響でオンラインのみでの開催となり、約100万人が視聴するなど注目を集めた。三木谷氏と、楽天モバイルの山田善久社長が、MNO(キャリア)サービスの狙いを語った。

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今回の一連の発表を「Rakuten Big Bang」と表現する三木谷氏

世界の主要キャリアで唯一の「1プラン」

 三木谷氏は「常識を覆す、世界の主要キャリアでは唯一の1プランだ」と息巻き、他のプランを出す予定は「今のところない」という。山田氏は「(料金プランを)作っている方からすると、よかれと思っていろんな場合を想定して策定するが、ユーザーからすると分かりにくくなる」と話し、シンプルで分かりやすいプランにこだわったことを強調する。

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シンプルさにこだわり、1プランのみに絞った

 使い放題に踏み込んだ狙いについて、山田氏は「世界各国と比較すると、日本は先進国でありながら、データ使用量が少ないので、気にせず、自由にデータを使ってほしい」と話す。

 月額2980円の意図については「他社の価格も参考にした。ユーザーの皆さまに喜んでいただくことはもちろん、財務的な基盤が崩れることがあってはならないので、総合的な判断の中で、この価格がいいのではないかと思った」と同氏は答えた。

KDDIエリア2GBまでは不公平感あり?

 1年間は無料で、2年目以降も月額2980円で使い放題というのは破格の料金にも見えるが、ネックになるのが「KDDIのエリアは2GBまで」の制約だ。楽天モバイルは、計画を前倒しして基地局の建設を進めており、2020年3月末までに4400局を開設する見込み。2021年3月までに、総務省に提出した計画書の8600局を「大幅に前倒しする形で動いている」(山田氏)とのことで、同時期までに楽天エリアを全国でカバーする予定。

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当初の計画値である3432局を超える、4400局を3月末までに開設する予定
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2021年3月までに、全都道府県で楽天エリアを構築する見通し

 ただし、現在の楽天エリアは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県などの一部に限られる。楽天モバイルがカバーしていない地域のユーザーにとっては、事実上、月額2980円で2GBまでしかデータ通信が使えないことになり、他キャリアの低容量プランと大差がない。それだけでなく、楽天モバイルMVNOサービスの2GBプラン(プランS)の月額1480円(楽天会員の1年目)よりも高くなる。

 山田氏は「楽天グループが総力を挙げて、基地局建設に取り組んでいる。できるだけ早く自社回線エリアを拡大していく」と述べているが、地域による不公平感があることは否めない。

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2020年3月時点で「全国をカバー」と表現しているが、これはKDDIのローミングエリアも含んだもの。楽天エリアのみだと、東名阪が中心になる

 また現在、楽天モバイルのエリア内でもKDDIのエリア内でも、スマートフォン上には「4G」のピクトアイコンが表示され、どちらにつながっているのかが分からない。この仕様は4月8日以降も変わらないとのことだが、ユーザー向けサイト「my楽天モバイル」から、楽天回線かKDDI回線かは表示されるという。また、my楽天モバイルから、KDDIエリアでどれだけのデータ容量を消費しているかも分かる。ただしユーザーが意図的に楽天回線とKDDI回線を切り替えることはできない。

 KDDI回線でのデータ容量が2GBに達すると、通信速度は128kbpsに制限され、1GBあたり500円でチャージをすると、速度が復活する。楽天回線については、開通日から1年間、300万人は無料で使い放題となる。

 2GBの制限があると、競争力がないのでは? という指摘に対しては、山田氏は「自社回線エリアがどんどん広がっていくと思う。同じ2GBだけを見ても競争力があると思う」とコメントした。

5Gの料金は未定

 楽天モバイルは、2020年6月に5Gサービスを開始する予定だが、5Gの料金プランは「まだ決まっていない」(山田氏)とのことで、別途発表されるのを待ちたい。

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フェムトセルやRakuten Mini新色も投入

 端末については、フェムトセル基地局として、自宅や店舗などに設置できる「Rakuten Casa」を3月下旬以降に順次発売する。LTEとWi-Fiに対応しており、電波がつながりにくい場所に設置して、通信品質を向上させることが狙いだ。

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フェムトセル基地局として使える「Rakuten Casa」

 2万1800円(税込み)の超小型スマートフォンの「Rakuten Mini」は、4月中旬以降に新色の「クリムゾンレッド」を追加する。このRakuten Miniを含めた11機種が楽天回線に対応しているが、他の機種も拡充できるよう「端末メーカーにお願いをしている」(山田氏)とのこと。なお、iPhone対応については言及がなかった。

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「Rakuten Mini」の新色「クリムゾンレッド」

 端末は全てSIMロックフリーで販売され、最低利用期間や契約解除料も設けていない。

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楽天回線に対応したスマートフォン。今後も拡充していくとのこと
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