富士通コネクテッドテクノロジーズが「5Gスマホのリファレンスデザイン」を開発 米Qualcommとの協業で
富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)が、米Qualcommと協業し、ミリ波対応の5Gスマートフォンのリファレンスデザインを開発した。約5年ぶりのFCNT製ハイエンドスマートフォン「arrows 5G F-51A」にとどまらず、このリファレンスデザインを活用した提案をしていくという。
富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)は4月6日、米Qualcommとの協業のもと「5Gスマートフォンのリファレンスデザイン」を開発したことを発表した。5G NRのSub-6(6GHz以下の帯域)とミリ波の両方に対応するスマホとしては世界最薄(同社調べ)の厚さ7.6mmを実現しており、NTTドコモが6月下旬以降に発売する「arrows 5G F-51A」もこのレファレンスデザインをベースに開発されたという。
このリファレンスデザインでは、Qualcommが開発した「Snapdragon 865 5G Modular Platform」を活用。アプリケーションプロセッサ(Snapdragon 865の本体)、モデム(Snapdragon X55 5G Modem)とRFフロントエンドをそれぞれモジュール化したことによって、部品を個別実装した場合と比べて実装面積を約35%、基板面積を約20%削減できたという。
さらに、3次元実装を用いた基板埋め込み技術を適用することで、端末の薄型化も図れたとのことだ。
5Gの高速通信を支えるミリ波は、波長の短さからアンテナ実装が難しく、ノイズを発生する部品の多いスマホではノイズ対策も同時に求められる。
リファレンスモデルでは、高周波信号の信号品質を確保できる「低誘電基板」を使ったり、アンテナと基板との接続にフレキシブルケーブルを利用したりすることで、薄型化と最適なアンテナ配置を両立したという。
また、金属と樹脂のハイブリッドボディーを用いることで、ボディー上部、左側面、右側面にそれぞれ1つずつミリ波用アンテナを設置し、全方向へのアンテナ放射を実現している。
本体の冷却には、従来から用いているグラファイトシートに加えて、揮発性の高い液体を封入した「ベイパーチャンバー」を用いている。ベイパーチャンバーはハイブリッドボディーと一体化しており、熱の拡散性と均熱効果を高めている。
先述の通りarrows 5G F-51Aはこのリファレンスモデルをベースとして開発されたもの。今後FCNTは、リファレンスモデルに含まれる要素技術をIoT製品、自動車や医療など、幅広い産業分野に応用する検討していくという。
関連記事
- 約5年ぶりの“とびきり”ハイエンド ミリ波対応の「arrows 5G」がドコモから 2020年夏発売予定【写真追加】
arrowsスマートフォンのハイエンドモデルが、約5年ぶりに登場。同時に発表された国内メーカー製5Gスマホの中では唯一の「ミリ波」対応モデルで、スペック的にも「ほぼ全部入り」となっている。 - Xperia、Galaxy、AQUOSにarrowsも――ドコモが「5Gスマホ」を6(7)機種発表 「4Gスマホ」も4機種投入
5G通信サービスの開始に合わせて、NTTドコモが新端末を発表した。5G通信に対応するスマートフォンやルーターに加えて、LTE(4G)に対応するスマートフォンやタブレットも投入する。【更新】 - QualcommがSnapdragon 865搭載デバイスを案内 「arrows 5G」や「ZenFone 7」も
Qualcommが、5G対応のモバイルプロセッサ「Snapdragon 865」を搭載するデバイスを発表した。いずれも2020年に発売予定のもので、未発表のものある。5Gに対応したXRデバイス向けプラットフォーム「Snapdragon XR2」を用いたレファレンスモデル「Snapdragon XR2 5G」も発表した。 - “5Gの早期普及”を目指すQualcommの新Snapdragonとテクノロジー
米ハワイ州マウイ島で開催中の「Snapdragon Tech Summit」で、QualcommがSnapdragon新製品を発表。フラグシップの「865」だけでなく、5Gの早期普及を目指す「765G」も投入。4Gと5Gで同じ周波数を共有する技術「DSS(Dynamic Spectrum Sharing)」も紹介した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.