総務省が楽天モバイルに“報告”を要求 「Rakuten Mini」の仕様変更について
Rakuten Miniの仕様変更について、総務省が楽天モバイルに対して電波法に基づく「報告」を要求した。2度に渡る対応周波数帯変更が、工事設計に合致していない疑いがあるという。【追記】
総務省は6月12日、楽天モバイルが販売するスマートフォン「Rakuten Mini」について、同社に電波法第38条の29および同法同条の20第1項に基づく報告を要求した。LTEやW-CDMAにおける対応周波数帯(Band)を変更したことについて、その変更が無線機として認証を受けた際の工事設計に合致していない疑いがあるという。
【追記:17時30分】楽天モバイルからのコメントを追記しました
Rakuten Miniは当初、モバイル通信について以下の規格と周波数帯(Band)に対応する形で出荷された。
- FD-LTE:Band 1/3/18/19/26/28
- TD-LTE:Band 41
- W-CDMA:Band 1/6/19
しかし同社は、主に北米におけるローミング時の通信品質を改善する目的で、ユーザーに告知することなく2度に渡り対応Bandの変更を行った。最新ロットでは、以下のBandに対応している。
- FD-LTE:Band 3/4/5/18/19/26/28
- TD-LTE:Band 41
- W-CDMA:Band 4/5/6/19
初期ロットと最新ロットを比較すると、FD-LTEとW-CDMAにおける「Band 1(2.1GHz帯)」のサポートがなくなり、FD-LTEとW-CDMAにおける「Band 4(AWSバンド)」「Band 5(850MHz帯)」と、TD-LTEにおける「Band 38(2.6GHz帯)」のサポートが追加されている。
日本で通信を行う無線通信機器は、電波法に基づく「技術基準適合証明」または「工事設計認証」を取得しなければならない。また、公衆ネットワークに接続する通信機器は、電気通信事業法に基づく「技術基準適合認定」も取得しなければならない。これらはまとめて「技適等(など)」と呼ばれており、機器の見える場所に「技適マーク」と認証番号を合わせて掲示しなければならない(※)。
(※)ディスプレイのあるデバイスでは画面上への表示(電磁的表示)が可能。また、デバイスへの掲示が困難な場合は添付文章(取扱説明書やパッケージ)への印字も可能
技適等のうち技術基準適合証明や工事設計認証について、現行法令のもとでは無線回りの基本設計に変更がない場合に限って取得済みの認証に「対応通信規格やBandの追加」や「スプリアス(周波数成分)規格の変更」を行えるようになっている。しかし、無線回りの基本設計に変更がある場合は、改めて認証を取得しなければならない。
Rakuten Miniの仕様変更について、総務省は取得済みの認証に追加する形が“妥当”なのか判断するために報告を求めたものと思われる。
新ロットの追加認証は「6月11日付で完了」
楽天モバイル広報部によると、Rakuten Miniの新ロットで実施した対応Band変更について、6月11日付で既存モデルと同一の認証番号で追加認証の取得を完了したという。
ちなみに、Rakuten Miniは電気通信機器の相互承認協定(MRA)を利用して技適などを取得している。総務省のデータベースによると、同端末の認証はオランダの認証機関「Telefication」で実施され、今年(2020年)の1月6日付で新規取得が完了している。MRAによって技適などの取得や更新を行った場合、総務省のデータベースへの反映に数カ月かかることもあり、今回の「追加認証」の反映もしばらくたってから反映されると思われる。
ただし、繰り返しだが、同一の認証番号における追加認証の取得は無線回りの基本設計に変更がない場合に限って認められる。FD-LTE/W-CDMA Band 1に非対応の新ロットが、同Bandに対応する旧ロットから無線回りの基本設計を変更したことが明らかな場合は、法令上“別の”無線機として認証を新規取得しなければならない。
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