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「コスパ」と「5G」を武器に日本で台頭したOPPO その歩みと今後の戦略を読み解く石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

OPPOの5Gスマートフォンがauとソフトバンクから発売される。SIMフリー市場では、コストパフォーマンスに優れたRenoシリーズでシェア拡大を目指す。今後はスマートフォンの周辺機器も拡張して満足度向上に努める。そんなOPPOの日本での戦略を解説する。

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製品バリエーションを周辺機器にも広げる、課題は差別化か?

 とはいえ、OPPOは販売台数ではなく、ユーザーの満足度を目標に掲げているという。河野氏は「私たちの事業計画を語る上で欠かせないのが、『本分』という考え方。この本分に従い、お客さまが欲しいと思える商品を作り続けていけば、結果は後からついてくると考えている。売り上げではなく、お客さま満足度の最大化を目指して事業計画を立てている」と語る。

OPPO
OPPOは、企業哲学として「本分」をまっとうすることを掲げている。こうした姿勢を重視するのは、京セラや第二電電(現・KDDI)の創業者として知られる稲盛和夫氏の影響も大きいという

 実際、2018年にトウ氏をインタビューした際にも、同様の趣旨のことが明かされている。OPPOでは、市場ごとに想定しているシェアがある。仮にそれを大きく超えてしまった場合、称賛されるどころか、逆に責任を問われてしまうのだという。「正しいことをしていれば、それに見合ったシェアは確保できる」(同)というわけだ。こうした考えに基づき、OPPOは80%弱の満足度を100%に上げていくことを目標に掲げた。

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ユーザーの満足度を100%に上げていきたいと語る河野氏

 そのためにOPPOが取るアクションが、「心地よい使用体験」を重視すること。スマートフォン単体を磨き上げていくのはもちろん、周辺機器も含めてユーザーの体験を拡張していくのが、OPPOの狙いだ。もともとスマートフォン専業メーカーとしてスタートしたOPPOだが、2019年12月に中国・深センで開催された「OPPO INNO DAY 2019」では、スマートウォッチやスマートイヤフォン、ARグラスといった周辺機器の展開を発表。「1+1+1>3」という不等式を掲げながら、複数の機器を連携させてユーザー体験を上げていく方針を語っていた。

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「心地よい使用体験」を実現するために、3つのアクションを実施していくという

 第1弾となるのが、スマートウォッチの「OPPO Watch」と、ワイヤレスイヤフォンの「Enco W51/W11」だ。OPPO Watchは、OSにGoogleのWear OSを採用。1.6型のディスプレイを備え、通知の受信ができる他、フィットネス関連機能を多数備える。OPPO独自の急速充電技術である「Watch VOOC フラッシュチャージ」に対応するのも特徴だ。

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Wear OSを搭載したスマートウォッチのOPPO Watch

 Enco W51/W11は、防水・防塵(じん)やノイズキャンセリングに対応した左右独立型のワイヤレスイヤフォン。W51は最大35dbのアクティブノイズキャンセリングに対応、W11は8mmの振動板を採用し、低音域をパワフルに再生できる。OPPOの強みであるコストパフォーマンスの高さは健在で、価格は税込でOPPO Watchが2万5800円、Enco W51が1万5800円、W11が5800円とリーズナブルだ。

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ワイヤレスイヤフォンのシリーズ名はEnco(アンコー)で、2機種をそろえる

 一方で、いずれの製品も“OPPOらしさ”がまだ十分ではない印象も受けた。周辺機器での特徴をどう打ち出していくのかを問われた河野氏が、「お客さまのニーズを的確に捉えながら、OPPOらしさを全面に出せればと考えている」と答えていたように、OPPO側もまだ手探りで商品を開発している様子がうかがえる。Appleはもちろん、HuaweiやXiaomiなど、他のスマートフォンメーカーも周辺機器の拡充を進めるなか、機能なり、価格なり、デザインなりでどう差別化していくのかが、今後の課題になりそうだ。

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