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インタビュー

arrows 5Gへの「Photoshop Express」統合はどう実現した? 担当者に聞いてみよう(1/3 ページ)

7月30日、富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)としては久しぶりのハイエンドスマートフォン「arrows 5G」が発売された。その特徴の1つとして、アドビの「Photoshop Express」と連携するカメラ機能が挙げられる。その実現に至るまでの経緯をアドビとFCNTの担当者に聞いた。

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 7月30日、NTTドコモから富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)製5Gスマートフォン「arrows 5G F-51A」が発売された。arrowsブランドのスマートフォンとしては約5年ぶりのハイエンドモデルで、5Gのミリ波通信にも対応するということで、2020年夏商戦における注目機種の1つといえる。

 arrows 5GにはAdobe(アドビ)の写真・画像編集アプリ「Photoshop Express」がプリインストールされており、標準カメラアプリには、撮影した写真をリアルタイムに同アプリで処理する「Photoshop Expressモード」も実装されている。アドビのスマホアプリが1つのスマホに“入り込む”ことは、世界中見渡しても例がないことだという。

 この“統合”はいかにして実現したのか。アドビのマーケティング本部で執行役員を務める里村明洋氏、FCNTの経営戦略室と営業本部で外部企業とのパートナーシップ戦略を担当している外谷一磨マネージャーと、FCNTのソフトウェア開発統括部でarrows 5Gのカメラ関連ソフトウェアの開発を担当した高見勝律シニアマネージャーの3名に話を伺った。

F-51A
本日の主役である「arrows 5G F-51A」(Navy Black)
Photoshop Expressモード
標準カメラに統合された「Photoshop Expressモード」。このモードで撮影した写真は、すぐにPhotoshop Expressで補正処理される。補正前の写真も同時に保存されるので、後からいろいろいじることも可能だ
3人
左から高見氏、里村氏、外谷氏。この写真は、arrows 5Gで撮ったものをPhotoshop Expressアプリで後から加工したものだ。暗めの場所で撮影したものだが、特に顔回りが明るくなった

クリエイティブの力をモバイルに広げたい

里村氏
アドビとFCNTの「なれそめ」を語る里村氏

―― アドビとFCNTの関係というと、楽天モバイル向けに投入された「arrows RX」(参考記事)に「Photoshop Lightroom」(写真の加工・編集・現像アプリ)がプリインストールされていてビックリしたことを今でも覚えています。

 両社が提携することになったきっかけを教えてください。


里村氏 私は前職でGoogleに勤めていて、その際にFCNTさんと仕事する機会もありました。その際の「人のつながり」と「ビジネスのつながり」が、今回の話につながった面もあります。

 FCNTさんへと転職のごあいさつに伺った際に、近況報告をする中で「クリエイティブ(アプリ)をモバイルにも広げていきたい」という話をしました。モバイルが絶対、というよりもクリエイティブの裾野を広げていくという意味です。弊社の中でライトユーザーにも簡単に使えるようなプロダクトに注力するという話も出ていたので。

 その際に、Periscoper、InstagramerやYouTuberの躍進もあり、FCNTさんもモバイル分野でのクリエイティブに注目していることが分かりました。「それならば、互い(の持つアセット)にニーズがありそうだ」という話になりました。

 ただ、アドビにとってはモバイル(端末メーカーと提携すること)は初めての取り組みだったので、できることが広がるのか、それとも失敗に終わるのか読めない部分がありました。

 タイミングが若干タイトだったのもあるのですが、新しいキャリアでローンチされる端末としてarrows RXがあり、当時アドビがイチオシしていたスマホアプリとしてLightroomがあったので、「まずは、arrows RXにLightroomをプリインストールしてみよう」ということになりました。

arrows RX
Photoshop Lightroomをプリインストールした「arrows RX」
外谷氏
アドビと提携することになったいきさつを語る外谷氏

外谷氏 さかのぼると、里村さんと最初に話をしたのは2019年4月でした。この当時は、arrows 5Gの開発がおおむね整理された(仕様を確定し始めた)タイミングです。

 arrows 5Gは、弊社としては久しぶりのハイエンドモデルでもあります。5Gスマホならではの価値を追求することはもちろんですが、「日本メーカー唯一のミリ波対応モデル」ということ以外にも新しい“付加価値”が必要です。

 そんな時、里村さんがアドビにいらっしゃるということを知り、「これだ!」となったわけです。アドビさんのアプリを(arrowsで)プロモーションすることが決まったタイミングで、一番発売時期が近かった機種がarrows RXでした。市場の反応を見るという意味でも「やってみよう」ということになりました。

―― それで、まずはarrows RXにLightroomを、ということになったわけですね。

外谷氏 そうですね。(ソフトウェアの)開発は進んでいましたが、プリインストールをするギリギリで間に合うタイミングでしたので、「まずやってみよう」ということで入れました。

―― このプリインストールで、ユーザーからのフィードバックは得られているのでしょうか。

里村氏 利用動向や稼働量(使われている端末数)というデータとしてある程度は取れています。

 利用動向という点では、カメラアプリで撮った写真を後からより手軽に、よりきれいにクオリティを高める目的で使われていることが分かりました。Lightroomは写真にきめ細かい調整を行えることも特徴ですが、ワンタッチで自動調整することもできます。クオリティーの高い写真にするためのアプリとして使われているという認識に相違はなかったです。

 稼働量という点では、弊社として想定していた数値をギリギリで達成している感じです。

 現場として「うまくいった」と思いはするものの、「こうすればもっとうまく行ったのではないか」と思う所もあります。

外谷氏 arrows 5Gにつながるフィードバックは十分に得られたと思います。

Lightroom
arrows RXにプリインストールされた「Photoshop Lightroom」
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