arrows 5Gへの「Photoshop Express」統合はどう実現した? 担当者に聞いてみよう(3/3 ページ)
7月30日、富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)としては久しぶりのハイエンドスマートフォン「arrows 5G」が発売された。その特徴の1つとして、アドビの「Photoshop Express」と連携するカメラ機能が挙げられる。その実現に至るまでの経緯をアドビとFCNTの担当者に聞いた。
「Photoshop Camera」への対応は?
―― スマホ向けのアドビアプリといえば、最近「Photoshop Camera」がリリースされました。しかし、Android版は対応機種が非常に少なく(参考記事)、現状においてarrowsは1機種も含まれていません。
arrows 5Gが、Photoshop Cameraに対応する可能性はあるのでしょうか。
里村氏 申し訳ないのですが現時点では未定となっています。Photoshop Camera自体が出たばかりのアプリで、まずはその反響を見てから対応機種を拡大したいという所があります。
グローバルで見てみると、アプリへの反響は国や地域ごとに差があり、日本では比較的好意的に受け入れられているようです。それを鑑みて、対応メーカーを広げていきたいと考えています。
アドビのアプリのうち、(Photoshop Cameraのように)機能面で細かい要件が定義されているものは、スペックを満たすだけではなく、正常に動作するかどうかの確認も取った上で初めて「対応」としています。この点について、FCNTさんと話ができればと思っています。
今後の取り組みは「1000個ぐらいアイディアがある」
―― 今後、アドビとFCNTの提携はどのようになっていくのでしょうか。
里村氏 アイディアは1000個ぐらいあって(笑)、それを絞り込んで2〜3個ほど(本気で)やりたいと考えていることがあります。
キーとなるのは、やはり“5G”です。クリエイティブな作業を高速に行って、高速な通信で(その成果を)やりとりできるようになります。写真だけではなく動画もクラウドで、というのが私たちの目指す所で、5Gがあれば新しいユーザーがさらに簡単に使えるようになるのではないかと考えています。
FCNTさんとも、この領域において何かできないかという話を始めています。arrows 5Gにおける取り組みについて、どのような形でユーザーに受け入れられるのか、軌道修正した方がいいのか、といった事を観察しながら、改善を重ねつつ進めて行きたいと考えています。
外谷氏 「プロダクト(製品)」と「マーケティング」の側面で考えています。
プロダクト面では、次の製品(5Gスマホ)の検討が既に始まっています。arrows 5Gの反響なども参考にしつつ、5Gという文脈のもと、どのようなポートフォリオが良いのか、どのようなプロダクトを出していくのが良いのかといったことを考えて行こうと考えています。
2021年、2022年と進んでいくにつれて、5Gのメリットを享受できる場所は増えていくと考えています。新しい価値を体験できるようなプロダクトを提供していきたいです。
マーケティング面では、従来はキャリアさんと一緒にスマホの体験会といったオフラインイベントをやることもあったのですが、このようなイベントでアドビさんのアセット(アプリやサービス)を合わせて体験していただくことも考えていました。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、当初考えていたことの一部については実施する時期を含めて再検討をしています。世の中の動向も見つつ、オフラインだけではなくオンラインを活用した取り組みも両輪として検討していきます。
―― arrowsや「らくらくスマートフォン」では、使い方ガイド的な小冊子を購入者に配布することがあったかと思います。arrows 5Gの購入者を対象に「Photoshop Expressの使い方」みたいな小冊子を配布する予定はないのでしょうか。
FCNT担当者 ユーザーの皆さまに分かりやすく使い方をお伝えする小冊子やセミナー活動を検討しています。
Webでは「arrows × Adobe Photoshop Express」というスペシャルコンテンツを発売日(7月30日)から公開する予定です。楽しみにしていただけると幸いです。
―― 先ほども話がありましたが、アドビさんは最近「すべての人につくる力を」と訴求していますが、FCNTさんとの取り組みもその一環なのですよね。
里村氏 そうですね。スマホを含むモバイルツールは“パーソナルメディア”になりつつあります。そこに注力しない手はありません。
―― となると、将来的に「arrowsを買えばモバイル向けのCreative Cloudアプリが全部そろう」といった展開もあり得るのでしょうか。
里村氏 去年(2019年)から、アドビでは「モバイルクリエイティブ」という構想を掲げています。モバイルデバイスで「こんなことがしたい」と思ったら、それに応えるアプリが手に入れられる、という状況を作りたいと考えています。
おっしゃる通り、(arrowsを含めた)スマホにアドビのモバイルアプリが全て入っていれば、手のひらでクリエイティブな作業ができるようになります。そんな世界を構築すべく、努力していく次第です。
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