激化する“サブブランド競争”の中でY!mobileはどう攻める? 寺尾氏に聞く(2/3 ページ)
サブブランドやMVNOを含めた格安スマホ市場の中でトップシェアを誇るY!mobile。一方で、楽天モバイルの本格サービス開始によって、サブブランド同士の競争も激化している。Android OneとiPhoneの2軸で攻めていた端末戦略にも、徐々に変化が出てきている。
Android Oneの役割は終わりつつある?
―― かんたんスマホ2以外では、夏モデルとして「Xperia 10 II」やOPPOの「Reno3 A」を導入しています。以前はAndroid Oneの比率が高かったことを考えると、端末戦略に変化が出てきているようにも見えます。実際は、いかがですか。
寺尾氏 今はだいぶ近づいてきていますが、Android Oneをやり始めたときは、各メーカーのUI(ユーザーインタフェース)もバラバラでした。当時はなかなかAndroid端末のコストが下がらず、中国メーカーは頑張っていた一方で、ある程度スペックがあると値段も高くなっていました。ここにAndroid Oneを入れると、どのメーカーも同じ土俵の上に立つので、コスト競争が働きやすくなります。UIとコストの両方をやるには、いいソリューションでした。
ただ、電気通信事業法も変わり、値段設定も原価に応じる形になってきました。2万円までしか引けないので、5万円のものは3万円ですし、2万円ものは0円です。そういった最終的な販売価格を意識しながら、プロダクトを選んでいます。OSのアップデートも、ほぼほぼ皆さんやるようになり、UIも素のAndroidに近いところまで洗練されてきています。
その中で、ZTEの「Libero」はかなり安く出すことができました。一方で、市場にはXperiaをお使いのユーザーが多いので、Xperiaについては市場を見て投入しています。OPPOは、コストパフォーマンスがいい。ラインアップは、そのバランスを取りながらですね。
―― Android Oneの役割が終わりつつある、ということですね。
寺尾氏 それでも、なくすことはありません。1台、2台と入れ続けていきます。もともと春先はOEMメーカーの端末を多く入れていたこともあります。こうした端末を、いくつか組み合わせながらラインアップを組んでいます。
料金プラン改定の狙いは?
―― 次に、料金プランについてうかがいたいと思います。7月からは、スマホベーシックプランMとRの容量超過後の速度を変更しました。Mの方は、容量自体も上げています。この狙いを教えてください。
寺尾氏 競争は素晴らしいですね(笑)
―― (笑)
寺尾氏 容量超過後の速度向上自体は、もともと幾つかあった楽天モバイル対抗策の中で考えてはいました。ただ、1Mbpsで無制限というのはなかなか伝わりづらく、何年も前から検討に挙がっては消えていました。その中で、UQ mobileがやってきた。改めて考え直し、UQ mobileは新しい料金としてやってきたところに対して、われわれは既存のお客さまにも1Mbpsを適用することにしました。これで獲得につながるかというと、正直疑問符がつくところもありましたが、既存のお客さまのサービスを改善できるのであれば、やってもいいのではないかと思い、いい機会なので始めることにしました。
―― プランを改定してからの動きはいかがですか。
寺尾氏 獲得数があれでものすごく伸びたというのは、(UQ mobileも含め)お互いにないと思います。入ってくるお客さまは、低価格狙いが多いですからね。その意味で、スマホベーシックプランSの比率に変化があるのかどうかは見ていましたが、気持ち、MやRが増えました。ARPUとしては上向きに動くので、いいことです。確かに、10GBで容量超過後も1Mbpsなら、ほぼほぼ満足できるクオリティーですからね。もともと、月末に向けてトラフィックが下がっていく傾向にありました。お客さまは我慢をしていたということです。そういった方々にとっては、満足できるのではないでしょうか。
―― 率直に申し上げて、どちらかというと以前はY!mobileが先に料金を出し、UQ mobileが後追いするということが多かった印象ですが、最近は逆のパターンも増えています。その辺はどうされていくお考えですか。
寺尾氏 本質的なところでは大きな差はないと思いますが、秋口にかけ、少しいじらなければいけないと考えています。既存のお客さまを大切にしないといけないので、今、仕込んでいるところです。常に何かやろうと、球は持っています。
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