シャープ秋冬スマホが“4機種”の理由 「5Gのノーマル化」を目指し、4Gの選択肢も:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
シャープは9月11日に、AQUOSシリーズのミドルレンジモデルを一挙に4機種発表した。「AQUOS sense」シリーズ3機種に加え、有機ELを採用した「AQUOS zero」シリーズにも、初のミドルレンジモデルが加わる。価格を抑えたモデルを複数投入することで、5Gの普及を促進させるのが同社の狙いだ。
シャープは9月11日に、AQUOSシリーズのミドルレンジモデルを一挙に4機種発表した。「AQUOS sense」シリーズ3機種に加え、有機ELを採用した「AQUOS zero」シリーズにも、初のミドルレンジモデルが加わる。中でも「AQUOS sense5G」と「AQUOS zero5G basic」は、同社のミドルレンジモデルとして初の5G対応モデルになる。価格を抑えたモデルを複数投入することで、5Gの普及を促進させるのが同社の狙いだ。目指したのは「5Gのノーマル化」だ。
目指したのは「5Gのノーマル化」、ミドルレンジのバリエーションを広げる
ハイエンドモデル中心だった5G対応のスマートフォンだが、Snapdragon 7シリーズや6シリーズの登場により、徐々に価格レンジが下方向に広がっている。KDDIが投入したXiaomiの「Mi 10 Lite 5G」や、ソフトバンクのOPPO製スマートフォン「Reno3 5G」は、その象徴的なモデルといえそうだ。一方で、どちらもプロセッサはSnapdragon 765Gを搭載しており、ミドルレンジの中では最もハイエンドに近い存在。カメラなどのスペックも高く、使い勝手はいい。
シャープが新たに投入するAQUOS zero5G basicも、位置付けはこれらの端末に近い。シャープでAQUOSシリーズのスマートフォンを手掛ける、パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏によると、メインのターゲットになるのは、「かつてハイエンドモデルを選ばれていた方」だ。
小林氏が「ハイエンドスマートフォンにとって、厳しい状況が続いている。何となくハイエンドを選ぶ方は、もうほとんどいない」と語るように、大手キャリアの分離プラン導入以降、売れ筋の中身は大きく変わった。ハイエンドモデルそのものが高額化していることに加え、電気通信事業法の改正で、端末購入補助に大幅な制限がかかってしまったからだ。結果として、かつてハイエンドモデルを選んでいたユーザーも、「価格と性能のバランスこそが重要」と考えるようになったという。
こうしたニーズを捉え、シャープはAQUOS senseシリーズを投入してきたが、ミドルレンジモデルゆえにハイエンドモデルと比べると、性能はどうしても抑えられてしまう。小林氏が、その一例として挙げたのがゲームだ。ハイエンドモデルに慣れているユーザーは、「ゲームの利用率が高く、一定時間以上ゲームをする方が51%もいる」(同)という。こうしたユーザーの目には、AQUOS senseはディスプレイ性能やGPUの処理能力が不足した端末に映る。「ニーズがどんどん多様化していて、商品に求められる特性もさまざま。1つのAQUOS senseでそこにお応えするのが難しくなった」(同)というわけだ。
AQUOS zero5G basicは、このような市場の変化を踏まえた端末といえる。プロセッサには、ミドルレンジ上位のモデルに向けたSnapdragon 765を採用。ハイエンドモデルとして2世代続けてきたこれまでのAQUOS zeroと同様、ディスプレイは応答速度の高い有機ELだ。ハイエンドモデルの「AQUOS zero2」と同様、リフレッシュレートは240Hzで、滑らかな映像を楽しめるのが特徴。タッチの検出も240Hzで行っているため、操作感もいい。
業界最軽量を目指したAQUOS zeroやAQUOS zero2とは異なり、重量は182gと一般的なスマートフォン並みになっているが、トリプルカメラや画面内指紋センサーなど、ハイエンドモデルに求められる性能はきちんと満たしている。ミドルレンジ以上、ハイエンド未満の端末は「グローバルでトレンドになっている」(同)が、シャープもそこにいち早くキャッチアップした格好だ。
キャリアが取り扱いを表明していないため、価格は現時点では明かされていないが、以前ハイエンドを買ったユーザーが支払った割引後の平均価格を意識しているという。価格設定はキャリアの考え方や納入数などにも左右されるが、本体価格で6万円から7万円の間、アップグレードプログラム適用で4万円前後に収まる可能性が高そうだ。
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