完全子会社化で変わる前提 ドコモが“大容量プランの値下げ”に踏み切ると考える理由:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
NTTがドコモを完全子会社化する効果がすぐに出るわけではないが、経営体制が強化されるメリットが大きい。ユーザーから短期的に期待されているのは、ドコモの料金値下げだ。筆者は大容量プランの値下げが有力だと考える。12月に社長が交代するタイミングで何らかの動きがあるかもしれない。
年内の値下げはあるか? 社長交代のタイミングには要注目
値下げについて、前向きな姿勢を示したNTTとドコモだが、いつ料金プランが改定されるのか。筆者は、その時は近いと見ている。競合他社の中からも、早期の値下げを警戒する声が聞こえてくる。先に述べた通り、TOBが成立すれば、NTT側にはすぐに値下げ余力ができるからだ。
ドコモは12月1日に社長を井伊氏に交代するが、それと同時かその直後に、何らかの動きがあっても不思議ではない。冒頭で述べた通り、井伊氏は「あらゆる年代のお客さまから支持される価格とサービス」の実現を経営課題に挙げており、「新しいドコモの創業」を掲げている。
サブブランドは文字通り、1つのブランドになるため、コンセプトの策定から料金プランの作成、ショップの運営を含めたオペレーションまで、準備にはそれなりの時間がかかる。現時点で「まだ何も考えていないのが正直なところ。どういった戦略が目的を達成できるのか、考慮しなければいけない」(同)というだけに、あと2カ月で投入できるとは考えづらい。
OCN モバイル ONEのサブブランド化も、ドコモと一体的に運用しようとすると、NTTコミュニケーションズの移管を待つ必要が出てくる。澤田氏が「決定ではなく、これから検討する段階」と語っていたように、こちらも実現には時間がかかる。まずは大容量プランを中心にドコモ本体での値下げに踏み切り、次の一手としてサブブランドを投入していくのではないか。
これらはあくまで筆者の予想で、大きく外していてもご容赦いただきたいが、少なくとも、ドコモの完全子会社化によって携帯電話市場が大きく動き出すことになるのは間違いないだろう。
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