iPhone 12シリーズは5G普及の起爆剤になるか 日本市場へのインパクトを読み解く:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
iPhone 12シリーズは、「iPhone X」の登場以降、初めてベースのデザインを大きく変えたフルモデルチェンジの端末になる。特に大きなトピックが、5Gへの対応だ。AppleのCEO、ティム・クック氏が「新しい時代のiPhoneの幕開け」と語っていたことが、その期待感の大きさを表している。
5Gのエリア拡大と歩調が合ったiPhone 12シリーズ、普及の起爆剤になるか
iPhone 12シリーズがヒットすれば、スタートダッシュでつまずいていた日本の5Gが、一気に加速しそうだ。「晩秋から来年にかけて5G祭が始まる」(ソフトバンク 代表取締役社長兼CEO 宮内謙氏)と、キャリア側もiPhoneの5Gには期待を寄せていた。3社とも、エリアはまだスポット的で、日常的に5Gに接続できる状況からは程遠いものの、端末とエリアは鶏が先か卵が先かの関係にある。iPhoneの魅力でこのジレンマを打破できれば、キャリアにとってエリアを拡大する意義も大きくなる。
iPhone 12シリーズに歩調を合わせるように、キャリア側も5Gのエリアを冬から2021年にかけて拡大する構えだ。KDDIやソフトバンクは、4Gの周波数の一部を5Gに転用する計画で、2021年3月には1万局、2022年3月には5万局に5Gの基地局を広げていく方針。周波数転用には慎重な姿勢を示していたドコモも、5G用に、衛星との干渉調整の影響が少ない4.5GHz帯を保有しているため、エリアの拡大は加速していく。2021年3月には全政令指定都市を含む500都市で展開、同年6月には1万局、2022年3月には2万局まで基地局を拡大する。
購入当初は、圧倒的に「4G」の文字を見ることの方が多いはずだが、使っているうちに、徐々に「5G」のアイコンを目にする機会が増えるはずだ。日本市場だけの事情に合わせたわけではないが、4Gからの周波数転用も決まり、エリア拡大のめどが立った中での投入は、いいタイミングだったといえる。5G普及の起爆剤として、各社とも、販売には例年以上に力が入りそうだ。
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