auは「iPhone 12」でどう攻めるのか? 既存周波数を5Gに使う意義は? 高橋誠社長インタビュー(3/3 ページ)
KDDIは、iPhone 12シリーズに導入されるAPIを使い、5Gエリアでかつデータ容量無制限のプランに入っている場合のみ、動画などが高画質化・低遅延化される仕組みを導入する。同時にKDDIは、4Gからの周波数転用を活用して、5Gのエリア拡大のペースを上げていく方針だ。iPhone 12や5Gに対する意気込みを、高橋誠社長に聞いた。
UQ mobileはサブブランドではない
―― 一方で、UQ mobileを統合してauとマルチブランド展開していくというお話もありました。
高橋氏 航空会社と同じで、あまりサービスを期待せずに安いものを選ぶ人と、きめ細かなサービスを求める人の両方がいます。その意味で、UQのMNO化は最大に分かりやすい。ブランドを2つに分けるということです。うちのユーザーも格安スマホに流れていますが、もうちょっとサービスが欲しいという人は戻ってきてもいます。行ったり帰ったりできるのはいいのではないでしょうか。
―― サブブランドではなく、マルチブランドというお話を強調していましたが、その心は?
高橋氏 UQの人たちは、ベンチャーっぽく自分たちのよさを作ってきました。彼らがうちに入ったときに、それを「サブ」というのはあまりにも失礼だからです。これは、社員に対するメッセージでもあります。auがメインでUQがサブなのではなく、あるターゲットに向けたメインはauでも、別のターゲットに向けたメインはUQです。
―― Apple Watchのファミリー共有設定にも3キャリアの中で唯一対応しました。なぜこれをやろうと思ったのでしょうか。
高橋氏 循環モデルができていますからね。親のApple Watchを子どもに渡して、iPhoneがない子どもでも電話番号が持てる。昨年(2019年)から、ティム・クックにもApple Watchを頑張ると言っていました。実際、今年(2020年)は店舗も拡大しました。
取材を終えて:iPhone 12を契機に5G競争が活性化するか
Appleが発表会で語っていたように、iPhone 12シリーズは、5G対応にあたり、キャリアとの協業を強化している。料金プランと通信方式を見て、コンテンツのクオリティーを変える取り組みは、その成果の1つ。いち早くデータ容量無制限の料金プランを打ち出していたKDDIにとって、重要な機能といえる。
5Gは異業種への広がりが期待されているが、そのためにはエリアが十分に広がっている必要がある。端末を普及させ、ユーザーに使ってもらうことは、キャリアがインフラを広げる動機になる。5Gに移行するユーザーが増えれば、IoTなどに応用するためのベースが作りやすくなるというのがKDDIの考えだ。3キャリアが取り扱うiPhone 12シリーズで、そんな5Gの拡大競争が活性化するのかは注目しておきたいポイントだ。
関連記事
- auがiPhone 12に導入した秘策 4G周波数の転用は“なんちゃって5G”にあらず?
KDDIは、iPhone 12シリーズ向けに、5Gエリアで動画サービスを自動で高品質にする機能を設ける。これはauの無制限プランを利用しているユーザーが対象になる。端末側でプランを判定して、5Gエリアでは映像の品質を上げるという。 - 出そろった「iPhone 12/12 Pro」の価格 3キャリアとAppleで比較する【更新】
10月16日に予約がスタートし、3キャリアの価格が出そろった「iPhone 12」と「iPhone 12 Pro」。一括価格が最も安いのはApple直販。3キャリアでは一括価格と実質負担額ともにauが特に安い。 - iPhone 12シリーズは5G普及の起爆剤になるか 日本市場へのインパクトを読み解く
iPhone 12シリーズは、「iPhone X」の登場以降、初めてベースのデザインを大きく変えたフルモデルチェンジの端末になる。特に大きなトピックが、5Gへの対応だ。AppleのCEO、ティム・クック氏が「新しい時代のiPhoneの幕開け」と語っていたことが、その期待感の大きさを表している。 - 「iPhone 12」シリーズは何が進化した? iPhone 11シリーズとスペックを比較する
iPhone 12シリーズの4機種は、前モデルのiPhone 11シリーズから何が変わったのか。シリーズ共通の違いと、11と12/12 miniの違い、11 Pro/11 Pro Maxと12 Pro/12 Pro Maxの違いを見ていきたい。サイズ感やカメラはどう変わったのか。 - au発表会で語られたこと 料金値下げ要請については「真摯に受け止める」と高橋社長
KDDIは9月25日、「UNLIMITED WORLD au 5G発表会 2020Autumn」を開催。5Gスマートフォンは6機種を発表し、これから投入するスマートフォンは全て5G対応になることを明かした。質疑応答では、菅総理大臣や武田総務大臣が要請している料金の値下げについての質問が集中した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.