ドコモ完全子会社化を巡る懸念、総務省の「検討会議」で議論へ
総務省が「公正競争確保の在り方に関する検討会議」を開催する。電気通信市場の環境変化を踏まえ、公正競争を確保するために必要な方策を検討することが目的。NTTによるNTTドコモの完全子会社化が主なテーマとなる。
総務省が「公正競争確保の在り方に関する検討会議」を開催する。電気通信市場の環境変化を踏まえ、公正競争を確保するために必要な方策を検討することが目的。
具体的には、NTT(持株)によるNTTドコモの完全子会社化や、NTTコミュニケーションズを含むグループ会社との連携強化が与える影響が主なテーマとなる。
KDDIやソフトバンクら28社は11月11日、公正な競争環境を求めるべく、総務大臣に対してNTTのNTTドコモ完全子会社化に関する意見申出書を提出。公開議論や競争ルールの整備を求めていた。
武田良太総務大臣は11月20日の会見で、「NTTドコモの完全子会社化を目的とした株式公開買い付けが成立した。NTTでは今後、NTTコミュニケーションズを含む、グループ会社との連携強化について検討していくとしている。一方で、競争事業者から、公正競争上の懸念が示されていると認識している」と現状を説明。
「公社(日本電信電話公社)の独占事業であった電気通信事業を民営化し、競争原理の導入を図るために、昭和60年に通信の自由化を行い、その後の市場の環境変化を踏まえつつ、類似の電気通信事業法改正などにより、電気通信市場における公正競争の確保をするために制度整備を図っている」(同氏)という背景も踏まえて議論していく。
第1回は12月3日に開催し、以降も順次開催していく。
構成員は以下の通りで、オブザーバーとして公正取引委員会が参加する。
(主査代理)
- 相田仁……東京大学 副学長、大学院 工学系研究科 教授
- 石田幸枝……公益社団法人全国消費生活相談員協会 理事
- 大谷和子……株式会社日本総合研究所 執行役員 法務部長
(主査)
- 大橋弘……東京大学 公共政策大学院 院長
- 岡田羊祐……一橋大学大学院 経済学研究科長
- 高口鉄平……静岡大学学術院 情報学領域 准教授
- 関口博正……神奈川大学 経営学部 教授
関連記事
- 「公正競争を阻害する」 KDDIやソフトバンクらが“ドコモ完全子会社化”の意見申出書を提出
電気通信事業サービスを提供する28社が11月11日、NTT(持株)のNTTドコモ完全子会社化に関する意見申出書を総務大臣に提出した。ドコモの完全子会社化は公正競争を阻害するというのが趣旨。子会社化は阻止できないが、しっかり議論をすべきと主張している。 - ドコモ完全子会社化の背景にある“危機感” 法制度上は「問題ない」とNTT澤田社長
NTTがNTTドコモを完全子会社することが9月29日に決定した。NTTの澤田純社長は、ドコモの収益が3番手になり、競争環境が変わったことから完全子会社化を決めたという。一方で公正競争を阻害するのでは? との懸念については「法制度上は問題ない」との認識を示した。 - 完全子会社化で変わる前提 ドコモが“大容量プランの値下げ”に踏み切ると考える理由
NTTがドコモを完全子会社化する効果がすぐに出るわけではないが、経営体制が強化されるメリットが大きい。ユーザーから短期的に期待されているのは、ドコモの料金値下げだ。筆者は大容量プランの値下げが有力だと考える。12月に社長が交代するタイミングで何らかの動きがあるかもしれない。 - ドコモの社長交代、NTTコムが移管したら“サブブランド”を作る可能性も?
2020年12月1日から吉澤和弘氏に代わり、井伊基之氏がNTTドコモの新社長に就任する。吉澤氏はNTTの完全子会社化に伴う施策を遂行するのに井伊氏は最適だと話す。NTTの完全子会社化になった後、NTTコミュニケーションズをドコモに移管することも視野に入れているが、気になるのはMVNOサービスの扱いだ。 - 政府の値下げ要請 ドコモが応えるのは12月以降?
KDDIとソフトバンクが立て続けに「サブブランド」の新料金プランを発表した。総務省(政府)の方針を受けた動きだが、サブブランドを持たないドコモはどのように対応するのだろうか。第2四半期の決算説明会での質疑応答の様子を見てみよう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.