auの新料金プランはなぜ炎上したのか? 料金は他社と同水準も、不誠実な打ち出し方が問題:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
auの新料金プラン「データMAX 5G with Amazonプライム」は、データMAX 5Gとそれぞれのサービスを個別に契約するより、わずかながらお得になる。しかしネットには失望の声も広がり、いわば炎上状態になってしまった。Twitterでは「au解約」や「さよならau」がトレンド入り。新料金の特徴とともに、その理由を読み解いていきたい。
新料金プランはなぜ炎上したのか、求められる誠実な打ち出し
ところが、ふたを開けてみると、auの新料金プランはネットで大炎上してしまった。理由は複数ある。1つは、タイミング的に“ahamo対抗”が期待されていたためだ。12月3日にドコモが発表したahamoは、オンライン限定ながら20GBで2980円と破格で、UQ mobileやY!mobileが導入する予定の20GBプランより安い。その翌週の発表会だっただけに、ユーザーはahamo対抗の何かを打ち出すことを期待していた。
確かに9350円という価格は、2980円を見た後だとかなり割高に見える。実際には、ドコモも5Gギガホはauと同水準の料金を設定しているため、フェアな比較とはいえないが、それだけahamoのインパクトが大きかったということだ。単にユーザーが勘違いしただけなく、KDDI自身の発表の仕方も誤解を招く要因だった。発表会で大写しになったスライドには、期間限定の割引を全て適用した際の“最安価格”しか記載されていなかったからだ。
先に述べた通り、with Amazonプライムは、割引を全て適用すると、契約翌月から6カ月間は3760円まで金額が下がる。料金水準はahamoの2980円に近く、一見しただけでは、Amazonプライムを付けてahamoに対抗したかのように思えてしまう。しかし、実際には半年ごとにキャンペーンが終わって料金が上がる上に、家族4人での契約や、固定回線が必要といった条件が付く。対抗策を打ち出したと思っていた人には、さまざまな割引条件が「だまし」に見えたはずだ。
もっとも、ドコモ自身もahamo以外の料金プランでは、KDDIと同様の見せ方をしている。ソフトバンクもそうで、3社とも割引前提の価格を押し出している点に大差はない。KDDIの新料金プランが大炎上してしまったのは、タイミングの悪さという不運もありそうだ。家族割引や光回線とのセット割自体を否定するわけではないが、まずは正価をきちんと提示した上で、割引が適用される人はいくらまで料金が下がると言った方が、本来はお得感も出しやすい。全員が恒久的に適用されるとは限らない割引前提の価格を訴求する手法は、そろそろ業界全体が見直すべきだ。
ドコモのahamoがここまで話題を集めたのも、単純な安さだけでなく、明朗会計的なシンプルさがあってこそ。金額や容量は事前に報道されていたが、複雑な条件が一切ない点は、いい意味で期待を裏切っていた。大げさに言えば、料金プランの“ニューノーマル”を打ち出していたといえる。KDDIも、ahamo対抗はUQ mobileやeSIMに特化した新ブランドで検討していく公算が高い。東海林氏は「お客さまにご満足いただけるものを、必ず頑張ってやっていきたい」と語っていたが、ahamo対抗の新料金プランには、金額や容量だけでなく、シンプルさにも期待したいところだ。
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