政府が進める「携帯電話料金値下げ」 販売スタッフの“本音”に迫る:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(1/2 ページ)
菅義偉首相と武田良太総務大臣が主導する形で、携帯電話料金の値下げへの機運が高まっています。果たして、携帯電話販売に携わるスタッフにとって、この値下げは「恩恵」となるのでしょうか。それとも……。本音を聞いてみました。
携帯電話市場において、今もっとも注目されている話題といえば「通信料の値下げ」でしょう。およそ2年前に「4割程度の値下げの余地がある」という発言をした菅義偉官房長官(当時)は9月に内閣総理大臣に就任し、その政権の重要施策の1つとして「携帯電話の通信料金の値下げ」が組み込まれています。
2019年10月(一部内容は2020年1月)に施行された改正電気通信事業法や2020年3月の5G通信サービス開始を機に、大手キャリア各社は従来よりも安価なプランや、「縛り」(定期契約)や容量制限を緩和したプランを打ち出すようになりました。最近であれば、NTTドコモの「ahamo(アハモ)」が象徴的です。
ただ、ユーザーが支払う携帯電話料金が実際に“安く”なるかどうかは、個々人を取り巻く状況にもよる面もあります。若干雑な言い方をすれば安くなるかもしれないし、変わらないかもしれないし、むしろ高くなるかもしれないというものなのです。
となると、気になるのが、ユーザーの料金に対する反応です。日々さまざまなユーザーと接している販売現場のスタッフに話を聞いてみました。
なお、この聞き取りはahamoやau(KDDIと沖縄セルラー電話)の「Amazonプライム」バンドルプランの発表前に行っています。あらかじめご了承ください。
auが発表したAmazonプライムとのバンドルプラン。Amazonプライムを使いたい人にとっては訴求力を持つプランではあったものの、ahamoの発表後に披露されたことに加え、発表会でアピールされた料金と、発表会では触れられなかった割引前の料金との“落差”が相まって「炎上」してしまった(参考記事)
料金に関する「声」はさまざま
早速、販売スタッフにユーザーから今の料金について「高い」「安い」といった問い合わせや反応がないかを聞いてみました。
お客さまからは「安くなるんでしょ?」といった感じで聞かれます。その中身を精査すると、「今使っているプランが高いから安いプランにしたい」という相談よりも、どちらかというと「今使っているプランをより安くする方法はないか?」という感じの相談が増えています。
携帯電話料金の値下げについて、何か動きがあればすぐにニュースに出るようになりました。それこそ、最近は朝昼晩と何かしらの番組で値下げの話が取り上げられます。
そのせいか、テレビを見たことを挙げつつ「安くなるんでしょ!」とお店に来る人が増えました。
確かに、朝のワイドショー、昼間の情報番組や夕方から夜にかけてのニュース番組など、携帯電話料金の値下げを巡る話題は頻繁に取り上げられるようになりました。筆者自身、家族や友人から「今より(携帯電話料金が)安くなるって本当?」と聞かれることはここ数年で増えました。
現役の販売スタッフともなれば、報道をきっかけとした来店、相談が増えているように感じるのは当然といえます。
こんな声もありました。
今の料金が「高い」と怒ってお店に来られるお客さまは、そこまで多くはありません。もっとも、「新しいプランに変えたら安くなった!」みたいな反応があまりないないのも事実ですが……。
「高い!」というご指摘があったとしますよね。それで料金を精査してみると、新規契約や機種変更に伴う手数料が上乗せされているだけだった、というケースは少なからずあります。この場合、料金が1カ月だけ増えるだけなのですが……。
あとは、段階制プランを利用していて、思いの外通信してしまった結果、料金が高くなったというケースも多いです。
従来からある「手数料」や「オプション」の料金などについて、ユーザーが自ら把握しきれておらず、一時的にかかる料金を含めて「今月高いんだけど」という指摘をするというケースも少なくなさそうです。
一方で、各社が矢継ぎ早に投入した新プランについて、買い替えに伴い変更をしたユーザーからは「安くなった」といった反応は特段ないようでもあります。
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