ドコモ新料金プランの狙いを解説 「5Gは容量無制限」「正価の安さ」が強み:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
ahamoの発表に続き、NTTドコモは、予告していた「ギガホ」の値下げに踏み切った。5G用の「5Gギガホ」と、4G用のギガホを共に値下げしつつ、データ容量も改定。合わせて、フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えたユーザーを対象したキャンペーンも、正式料金化した。それぞれの新料金の狙いを読み解いていきたい。
大容量や3Gからの移行が課題だったドコモ、他社も対抗する可能性大
ドコモが5Gギガホ プレミアやはじめてスマホプランを導入した背景には、2つの課題がある。田村氏は、「大容量プランの獲得と、3G利用者のマイグレーション(移行)が喫緊の課題」(田村氏)と語る。他社と比べ、ドコモは大容量プランのユーザーの比率が低く、結果として1ユーザーあたりの平均トラフィックは、大手3社で最も少ない。総務省が12月に公開した調査資料によると、1契約者あたりの総トラフィックは3.7GBで、7.1GBのKDDIや13.7GBのソフトバンクに大きく差をつけられている。
鳥塚氏によると、新料金プランでギガホを前者を選ぶユーザーは、3割弱にすぎないという。5Gギガホでは、比率が上がり4割程度になるというが、料金プランの改定によって「この比率がさらに上がってくることを期待している」(同)という。値下げにはなるが、「競争力のある料金体系で、ポートイン(流入)の強化やポートアウト(流出)の抑止がある」(田村氏)ため、減収幅もある程度抑えられると見ているようだ。
もう1つの課題は、フィーチャーフォンユーザーの移行だ。ドコモは、3GサービスのFOMAとiモードを、2026年3月に終了する。KDDIは2022年3月、ソフトバンクは2024年1月にサービスを停止する予定だ。とはいえ、現時点でも「iモードは500万契約、iモード契約のない方を含めるとそれより多い」(鳥塚氏)ユーザーが、3Gのままだ。こうしたユーザーを巡り、「他社との間でスマートフォンに変えていただく競争が激化している」(同)。
こうしたユーザーに対し、ドコモははじめてスマホプランを導入。キャンペーンではなく、正式プランの1つとして展開する。料金は1650円。3Gケータイからの移行が契約の条件になるが、1650円で4G、5Gのどちらも利用できる。データ容量は1GBと少ないが、5分間の音声通話定額がつくため、フィーチャーフォンと同水準の料金で使いたい人には、うれしい料金プランといえそうだ。正価としては、同じく料金プランの形を取るソフトバンクの「スマホデビュープラン」の2480円より安い。
ahamoに続き、矢継ぎ早に新料金を打ち出したドコモだが、競争上、他社も対抗値下げをせざるをえなくなるだろう。実際、KDDIは「他社の戦略についてお答えできる立場にない」としつつも、「新たな競争力のある料金プランに加え、auの料金水準の見直しなどを発表する予定」(広報部)とコメント。auブランドで提供する、無制限プランの料金を見直す構えだ。ソフトバンクは静観しているものの、KDDIが対抗すれば、対応を余儀なくされそうだ。料金水準の見直しはもちろんだが、ドコモが打ち出したようなシンプル化にも期待したい。
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