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5G対応TORQUEは今春登場! 京セラがタフネス端末の戦略を説明(1/2 ページ)

京セラが「30th Anniversary 特別企画」の第3回で高耐久端末事業について説明。日本では「TORQUE」がおなじみだが、スマートフォン以外の高耐久端末も多い。高耐久技術の汎用端末への横展開も検討している。

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 京セラは「30th Anniversary 特別企画」として、5つのテーマ全5回にわたり携帯通信機器事業に関する説明会を2020年11月から行っている。2月9日にはその第3弾として、「高耐久端末事業」に関する説明会をオンラインで開催した。

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 京セラ 通信機器事業本部 通信事業戦略部 第1法人ビジネスユニットの湯浅紀生氏が、高耐久端末事業について、その歴史から現在の取り組み、今後の展開までを紹介した。

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京セラの湯浅紀生氏(写真提供:京セラ)

高耐久事業は米国から始まり、製品ごとに技術が進化

 京セラが高耐久事業を手掛けたのは米国市場からだ。2007年に米国国防総省の規格MILStandard810Fに準拠したフィーチャーフォンを発売。その後スマホにシフトし、日本市場でも商品をリリース。全世界での累計出荷台数は1100万台を超える。国内市場では2014年から高耐久モデルを販売しており、2019年の「TORQUE G04」までシリーズ累計140万台を出荷している。

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京セラの高耐久性端末は世界で累計1100万台。高耐久性端末の区別が難しいので世界一とはいえないが、「誇れる数字」(湯浅氏)と胸を張った
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日本では2014年から2019年の「TORQUE G04」まで140万台を出荷している

 高耐久性事業への参入は、京セラのものづくりの考え方にのっとり、市場観察から始まった。「既に技術を保有していたから、多くのユーザーがいたから参入したわけではない」と湯浅氏は言う。北米の場合は寒冷地帯や乾燥地域で携帯電話に耐久性を求める声があり、それが商品企画のきっかけとなった。製品に対するユーザーの声はフィードバックされ、次の商品企画につなげてきた。京セラ自身で修理サービスを提供しているため、故障などによる返却品の検証も次の製品に生かされたという。

 その結果、高耐久技術は製品を出すごとに高度化されていった。2014年にTORQUE G01をリリースした際は、耐久性の試験項目はMIL Standardの11項目、落下させる高さは1.22メートルで、ラワン材への落下試験だったが、G02では試験項目が21項目に増え、落下の高さは1.5メートル。さらに、世界で初めて海水にも対応したスマホになった。最新のG04では落下の高さは2メートル、鉄板への落下にも対応。他社製品でも落下に強いモデルがあるが、TORQUEは連続落下試験という独自試験も行っており、高さ1メートルで500回の連続落下にも耐えることが優位なポイントだとする。

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進化してきたTORQUEの耐久性

 ユーザーの声から、さまざまな耐久性仕様を商品企画に取り込んでもいる。その1つが、京セラが特許を保有する「ハイブリッドシールド」だ。傷つきにくく、割れにくい強化ガラスの上に、耐擦傷性の高いコーティングを施したアクリルスクリーンを貼り合わせており、連続落下試験にも大きく貢献している。「TORQUEにおいて、ガラス割れの返品が5分の1に激減」(湯浅氏)したそうだ。

 手袋をした指、ぬれた手でも操作できる「グローブタッチ」「ウェットタッチ」に加え、それらの自動切り替えにも対応。強さと軽さの両立、交換パーツの拡充などにも取り組んだ。パーツ交換については、バッテリーやそのカバーだけでなく、USBカバーや前面パーツも自分で交換可能となっていて非常に好評だ。

 強度を高くするために欠かせないのがシミュレーションだという。シミュレーションを繰り返すことで、ケースの材料や構造、ネジ位置などを決定し、特徴ある四隅のバンパーや軽量化につながっている。

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ユーザーの声に応える形で技術を搭載してきた
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高耐久端末を支える独自機能

 こうした技術を搭載した京セラの高耐久モデルには、驚きのエピソードも数多くある。それが端末に対する評価を高め、ユーザーの愛着を深めてきた。

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エピソードの一例。「TORQUEは車にひかれても、海に落としても動作しているし、人の命の危険があるような非常に厳しい環境でも元気に動き続けている」(湯浅氏)

 高耐久モデルのものづくりが、別の商品につながることもある。ハイブリッドシールドやグローブタッチ、ウェットタッチの技術は通常モデルに展開され、高耐久技術で培った防水性、防塵(じん)性の技術を発展させ、泡ハンドソープで洗えるモデルも登場した。

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高耐久技術が一般モデルにも広がり、新たな製品も生み出した
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