楽天モバイルに聞く「Rakuten BIG」「Rakuten Hand」開発秘話 5Gでも独自端末の狙いとは?(3/3 ページ)
MVNOも含めたキャリアの中で今、最も“自社端末”に注力しているのは、楽天モバイルだろう。「Rakuten Mini」を皮切りに、5Gのスタートでは、Sub-6とミリ波に両対応した「Rakuten BIG」を発売。2020年12月には片手で持ちやすい「Rakuten Hand」を送り出している。なぜ楽天モバイル自身で独自ブランドの端末を手掛ける必要があるのか。
OSバージョンアップは検討する
―― 価格帯で言うと、確かにミリ波対応では安いかもしれませんが、絶対値はRakuten MiniやRakuten Handより高くなります。売れ行きはいかがですか。
小野木氏 ハイエンド級のスペックをお求めになる方には、想定以上に売れています。顧客層はプライスポイントで変わってきますが、6万円台というところでは、期待を超えていました。
―― Rakuten Miniでは、基本的にOSバージョンアップはしないというお話がありましたが、この2機種はいかがですか。
塚本氏 具体的なプランが今あるわけではありませんが、検討はしていきます。まずは、お客さま目線でどんなメリットがあるか、です。カスタマイズ端末なので(あまりバージョンアップはしない)というベースはありますが、どういったメリットをご提供できるかで判断します。
楽天オリジナルブランドの端末は積極的に推進していく
―― Rakuten BIG、Handで、いったんラインアップは完成と見ていいのでしょうか。
小野木氏 2021年は競争環境がガラリと変わります。標準サイズとは何ぞやというのは、時々刻々と変わっていきますが、ストライクゾーンのスマートフォンはもっと多く作っていきたいと話しています。Rakuten MiniやRakuten Handの系譜に連なるものも、ポートフォリオの多様化という観点で、可能性を模索しています。いずれにしても、楽天オリジナルブランドの端末は、積極的に推進していきます。
―― 一方で、いわゆるメーカーブランドの端末も取り扱っていますが、こことのすみ分けはどうされていくのでしょうか。
小野木氏 お客さまの嗜好(しこう)もあります。このメーカーの、この機種が好きという方は一定数います。OEMパートナーのモデルをご提供することで、そういった方も幅広く取り込んでいきたい。お客さま層を多様化するためには、メーカーとのパートナーシップも引き続き継続していく必要があります。
―― 全体で見ると、5G端末がまだ少ない印象もあります。ここはどのように拡充していくのでしょうか。
小野木氏 5Gが今後主流になるのは自明です。5G搭載は基本路線として、4Gもコンパチブルな状態でどんどん拡大していきたいと考えています。マーケットのトレンドはありますが、われわれが気にしているのはプライスポイントです。全ての端末を5G対応にして、この2つが成立するならやりたいのですが、まだ確約が取れません。
―― ちなみに、Rakuten BIGやHandが出て、初代のRakuten Miniはそろそろ役割を終えてフェードアウトしていくことになるのでしょうか。
小野木氏 いえいえ。1月22日から大きなキャンペーンを開始していますから。Rakuten Miniは、具体的な販売数はお話できませんが、かなり売れた端末になります。
―― 最後の質問で恐縮ですが、Rakuten Miniつながりでお聞きすると、Rakuten BIG、Handの対応周波数は大丈夫でしょうか。
塚本氏 個別の話としては言いづらいですが、全社的に、再発防止策としていろいろな取り組みをしています。皆さんにご不便をおかけしないよう、商品を提供していきたいと考えています。
取材を終えて:“普通の端末”をもっと拡充させる必要あり
ミリ波やeSIM、FeliCaといったキャリアが推進したい機能を普及させる上で、オリジナル端末は有効といえそうだ。eSIMについては、その後シャープやOPPOが対応したことからも分かるように、波及効果も出ている。いずれのモデルもコストパフォーマンスが高く、料金の安さにひかれて楽天モバイルを契約するユーザーにフィットしそうだ。
正直、Rakuten Miniはメインで使う1台目の端末にするのは厳しいと感じたが、Rakuten BIGやRakuten Handであれば、その心配は不要だ。ただ、大画面のミドルレンジモデルのような“普通の端末”はまだまだ少ない。小野木氏も語っていたように、「ストライクゾーンの端末」は今後も拡充していく必要がありそうだ。
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