ドコモとスカパー、39GHz/2GHz帯を利用した上空エリア化の実証実験
NTTドコモとスカパーJSATは、5G evolution/6Gでの上空エリア化実現に向けた電波伝搬測定の実証実験を実施。高速通信の提供が難しかったへき地、空、海上などへの通信エリアの拡大を目的としている。
NTTドコモとスカパーJSATは、3月10日に5Gevolution/6Gでの上空エリア化実現に向けて行った、小型飛行機を活用した市街地(小田原)・山林(丹沢)・離島(伊豆大島)での実証実験について発表した。
両社は上空20kmの成層圏に通信装置を搭載した高高度無人機HAPS(HighAltitudePlatformStation)を飛ばし、広エリアでの通信サービス提供に向けて取り組んでいる。本実証実験はその一環で、2月15日〜2月26日に高速通信の提供が難しかったへき地、空、海上などへの通信エリアの拡大を目的としている。
小型飛行機で上空約3km先の受信装置に向けて、5Gでの高速通信に適したミリ波(39GHz 帯)、比較のためミリ波よりも電波が飛びやすい低い周波数(2GHz帯)を利用した電波伝搬を測定。その結果、遮蔽(しゃへい)物のない環境ではほぼ机上計算と同じ受信電力が得られた一方、建物や樹木を挟んだ場合は39GHz帯の受信電力の損失は比較的大きく、降雨がない場合の雲の影響は比較的小さいことが確認できた。このような遮蔽物の影響は、複数の地上局を切り替える技術(サイトダイバーシチ)などを用いて軽減を検討するという。
今回の実験では、小型飛行機の位置や飛行姿勢によらず、同じ指向性パターンのアンテナを用いて送受信を行ったため、飛行機の旋回の影響でアンテナの角度が変化すると受信電力が大きく変化することも分かった。将来のHAPS実用化に向けて、旋回による影響を抑えて一定の受信電力を保持する制御技術の重要性を確認できたとしている。
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