なぜVoLTE非対応に? 対応策は? LINEモバイルのドコモ回線旧プランにまつわる仕様変更
LINEモバイルのドコモ回線を使った音声通話SIMのうち、旧プランを契約しているものは4月6日からVoLTEが使えなくなる予定となっている。それはなぜなのだろうか。対応策はないのだろうか。
LINEモバイルは3月8日、NTTドコモ回線を利用する音声通話SIMのうち、旧プランを契約しているものについて4月6日以降「VoLTE」による音声通話ができなくなる予定であることを告知した。この件をITmedia Mobileで報じたところ、SNS上で大きな反響があった。
そもそも「VoLTE」とは何なのか、なぜVoLTEに非対応となるのか――対応策と合わせて、簡単にまとめる。
そもそも「VoLTE」とは?
VoLTEは、「LTE(Long Term Evolution)」というモバイル通信規格において音声通話サービスを行うための仕組みだ。
本来のLTEでは、データ(パケット)通信しかできない(その経緯は割愛する)。そのため、初期のLTE(4G)対応スマートフォンでは、音声通話をする際に通信を3G/2Gに切り替えていた(日本での切り替え先は3Gのみ)。しかし、3G/2Gに切り替えて音声通話をすると、切り替え先の規格によって「データ通信が瞬断したり遅くなったりする」「データ通信を一切行えない」といった問題が生じる。
そこで、インターネット回線で音声通話を実現する「VoIP(Voice over IP)」という技術をベースに、LTEでも音声通話を利用できる仕組みが開発された。それがVoLTEである。日本では、2014年中に各キャリアがVoLTEによる音声通話に対応している。
- →ドコモの「VoLTE」がスタート――さっそく「GALAXY S5」でハナシ比べてみました
- →auの「VoLTE」がスタート――ならばと「isai VL」でハナシ比べてみました
- →ソフトバンクも「VoLTE」開始 3Gでも高音質な「HD Voice」を同時提供
VoLTEでは、3G/2Gによる音声通話よりも高音質な「HD通話」、さらに高音質な「HD+通話」にも対応している。対応端末同士で通話をすれば、非常にクリアな音声で会話できることが魅力である。
LINEモバイルのドコモ回線旧プラン なぜ「VoLTE非対応」に?
話がわき道にそれそうになったので本題に戻ろう。なぜ、LINEモバイルのドコモ回線を使った音声通話SIMのうち、旧プランを契約しているもの“だけ”がVoLTE非対応となるのだろうか。LINEモバイルの広報担当に質問してみた(質問と回答は体裁を整えている)。
―― LINEモバイルのドコモ回線を使う音声通話SIMのうち、旧プランを契約するものがVoLTE非対応となる理由を教えてください。「システム改修」が理由とのことですが、APN(パケット通信の接続先)変更などの改修があった場合でもVoLTEを含む音声通話サービスに影響が出た事例は、私が記憶する限りでは今までなく……。
LINEモバイル広報 、システム改修に関する詳細については、非公開とさせていただいております。今回のシステム改修は前例のない内容であるため、このような事象(VoLTEの非対応化)が発生する予定となっております。
VoLTE非対応となる理由について、詳しいことは教えてもらえなかった。ただ、今回の「システム改修」は、ネットワーク側に大きな変更を伴うものであることは伺える。
音声通話を使うには「2つ」の方法がある
LINEモバイルでドコモ回線の旧プランの音声通話SIMを使っているユーザーが4月6日(予定)以降も音声通話を使う場合、2つの方法がある。
方法1:端末のVoLTEを「オフ」にする
1つは端末のVoLTE機能を「オフ」にする方法だ。VoLTEに対応するAndroidスマートフォンやiPhoneでは、以下の通りに設定すればVoLTEを無効化できる。
- Androidスマホ(※)
設定→ネットワークとインターネット→モバイルネットワーク→「4G回線による通話」をオフにする
(※)メーカーや端末によっては項目の名称や位置が異なる場合があります
- iPhone
設定→モバイル通信→モバイル通信プランでLINEモバイルの電話番号(SIMカード)を選択→音声通話とデータ→「VoLTE」をオフにする
VoLTEを無効化すると、音声通話を3G(FOMA)ネットワークで行うようになる。ただし、以下の制約が発生する。
- VoLTEの高音質通話(HD/HD+)を利用できない
- 発着信時や通話中は、データ通信も3Gネットワーク経由となる(通信速度が遅くなる恐れがある)
- 発着信時にデータ通信が中断される場合がある(LTEと3Gのつなぎ替えを行うため)
- 「LTE(Xi)は圏内、3Gは圏外」という場所では発着信できない(めったにない)
方法2:ベーシックプランへの変更
料金プランを現行の「ベーシックプラン」(音声通話SIMは税込み月額1210円から)に変更すると、システム改修後もVoLTEを利用できる。プラン変更は手続きを行った翌月の1日から適用される。
関連記事
- LINEモバイルのドコモ回線旧プランで「VoLTE」が利用不可能に 4月6日以降(予定)
LINEモバイルのNTTドコモ回線を利用する音声通話SIMのうち、旧プランを契約しているものがVoLTE通話に非対応となる。VoLTE通話を今後も利用するには、現行プランへの移行が必要だ。【追記】 - LINEモバイルが新料金プラン発表 月額1480円/3GBで「業界最安」うたう
LINEモバイルが、2020年2月19日からMVNOサービスの料金プランを改定する。音声SIMの料金は3GBで月額1480円で、同社は「業界最安」をうたう。新料金プランでは、全てのプランでLINEの通信量はカウントしないが、SNSとLINE MUSICのデータフリーはオプションサービスとして提供する。 - LINEモバイルの新規受付が3月31日で終了 サービスは継続
LINEモバイルが、MVNOサービス「LINEモバイル」のオンラインでの新規申し込みを2021年3月31日11時に終了する。店舗では3月1日から順次終了する。サービスは継続するが、ドコモ回線とau回線への変更はできなくなる。 - SoftBank on LINEの正式名称は「LINEMO(ラインモ)」 3月17日にサービス開始 通話準定額抜きで2480円から
ソフトバンクがLINEと協業して提供するオンライン専用通信サービスの名称が「LINEMO(ラインモ)」に決まった。通話準定額をオプション化することで、当初予定と比べて月額料金は500円値下げされる。サービスは3月17日に開始する。 - 「LINEMO」の戦略を読み解く ヤフーとLINEの経営統合がサービス強化のカギに
ソフトバンクオンライン専用ブランドが「LINEMO」に決定した。料金も改定し、5分間の音声通話定額をオプションにすることで、最低料金を月額2480円に下げた。MVNOとして展開しているLINEモバイルを発展的に継承する形で、LINEとのサービス連携が最大の特徴になる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.