折りたたみスマホ「razr 5G」はなぜ縦型? ヒンジの耐久性は? Motorola担当者に聞く(1/2 ページ)
razr 5Gは、「伝説の名機」といってもいい「razr」をスマートフォンに進化させたモデル。折りたたみ型のディスプレイを採用したrazrとしては第2世代となり、5Gにも対応した。薄さを実現できた秘密や横型ではなく縦型の折りたたみスマホとした理由、閉じた状態で使い勝手を向上させた工夫などを聞いた。
Motorolaの折りたたみスマートフォン「motorola razr 5G」が発売された。razr 5Gは、「伝説の名機」といってもいい「razr」をスマートフォンに進化させたモデル。折りたたみ型のディスプレイを採用したrazrとしては第2世代となり、5Gにも対応した。このrazr 5Gの開発に携わった米Motorolaのプレミアム・フラグシップ製品担当General ManagerのJeff Snow氏が、日本メディアの質問に答えた。
Snow氏は、Motorolaで20年以上勤めており、直接の関係はともかく長期間にわたってrazrシリーズを身近に見てきた人物で、今回は折りたたみ型スマートフォンのrazr 5Gの開発を担当した。
razr 5Gの薄さを実現できた秘密
razrといえば、折りたたみの特徴的なスタイルで当時人気の携帯電話だった。アンテナをスマートフォンに対応させることは、「市場にニーズがあると考えた」とSnow氏は言う。スマートフォンの大画面化が進む一方で「コンパクトなスマートフォン」を持ちたいという人が増えており、「1日中スマートフォンを使う」というニーズがない人もいる。
そうしたニーズを満たすために、折りたたんで持ち運びやすくして、それでも使うときには大画面を使えることが重要だと考えたのだという。その上で、「昔のrazrをほうふつとさせることに着目した」とSnow氏。スマートフォンは、前面がほぼディスプレイで覆われているため、外観の特徴は出しにくくなっている。そうした画一化されたデザインの中で、「フレッシュなデザインにして、ファッションステートメントとして主張できて、使っていてワクワクするようなデザイン」(同氏)を目指したのがこのrazr 5Gだという。
razr 5Gは、日本未発売の前モデルと同じく、縦折りのフリップタイプ折りたたみスマートフォン。デザインの最大の特徴は、本体下部にある膨らみだ。この部分にディスプレイの上半分がピッタリとはまり込み、鋭利な形になる。このアイコンとも言うべきデザインの特徴もちろん継続している。
このデザインが採用されたのは、razrのアイコンだからという理由だけではない。これがrazrの特徴的な薄さ(開いた状態で7.9mm)とコンパクトさを実現しているのだという。razr 5Gでは、折りたたむ上半分と下半分にそれぞれバッテリーを配置。その上でさまざまな基板を配置している。そしてこの膨らみの部分にはステレオスピーカーを内蔵しており、「音質を確保するためにもこの位置にあるのが重要」(Snow氏)だという。
さらに、SIMスロットやアンテナもこの位置に内蔵した。特に5Gになってさらに多くの周波数に対応する必要があり、閉じていても開いていてもRF(信号を処理する回路)の性能を出すためには、この位置にアンテナを配置することが重要だったという。
それをこの部分に配備できるため、設計上の余裕ができて、全体的な薄型化、コンパクト化が実現したということだろう。実際、前モデルに比べてスリムになり、15%程度のコンパクト化を実現しているそうだ。
前モデルではこのアゴの部分に指紋センサーを配置していたが、これは廃止され、背面に移動した。「人間工学的に改善の余地があると考えていた」(Snow氏)そうで、閉じたときも開いたときも使いやすいと考えて背面に配置したという。
5年間使い続けても壊れないヒンジ
折りたたみ型を実現するに当たって重要なのがディスプレイとヒンジだ。「ヒンジには大きな投資をしている」とSnow氏は強調。メカニズム自体は第1世代とほとんど変わっていないというが、折りたたんだときにはディスプレイがピタッと重なってティアドロップ(しずく型)になり、開いたときには真っすぐ開く。これを実現するのがヒンジの構造で、「全ての部品で完全なテストをやった」とSnow氏は設計に自信を見せる。
razrでは、折りたたんだ状態でディスプレイの間に指を入れて、手首を振ることで勢いよく開くという開け方が広告で使われることもある。このrazr 5Gでもこの開閉方法は禁止されていない。Snow氏によれば、過去のrazrユーザーの使い方を調査したところ、1日の平均開閉数は40回で、99%のユーザーは最大でも1日100回の開閉に収まると判断。それが5年間だと20万回の開閉になり、その回数であれば壊れないように設計したという。
閉じた状態での操作性も向上
こうしたテストで耐久性を確保しつつ、「時間をかけて考えたのが閉じた状態でのエクスペリエンス」だとSnow氏。2.7型と比較的大きめのクイックビューディスプレイを搭載しており、閉じた状態で手に持って手首を2回ひねるとカメラが起動する機能を生かして、クイックビューディスプレイをファインダーとしてメインカメラでの自撮りが可能な点をアピール。インカメラより高画質で撮影できる点がメリットだ。
さらにこの画面でもアプリの利用が可能で、メールやSNSのメッセージを素早く確認したいという場合に、端末を開く必要がないので便利だ。開いた状態で電話していて、デスクに着いたときに閉じれば自動的にスピーカーフォンになる、といったさまざまなユースケースを考えて設計しているそうだ。
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