iモード全盛期からスマホアプリまで 20年のモバイルコンテンツと文化を振り返る:ITmedia Mobile 20周年特別企画(3/3 ページ)
今から20年前の2001年といえば、携帯電話からインターネットサービスが利用できる「iモード」が普及し始めた頃だった。2006年頃からは、PCで人気となっていたSNSがモバイルの世界に入ってきた。その後、スマホが普及したことで、コンテンツ市場にもパラダイムシフトが起きた。
4Gの普及でスマートフォンがネットサービスの主流に
そしてスマートフォンの普及とアプリによるコンテンツの進化は、大容量通信のニーズを拡大させ3Gから4Gへの移行を促すことにもつながった。そして4Gの普及は、コミュニケーションの在り方にも大きな変化をもたらしている。
それは、データ量が大きい写真や動画などを活用したリッチなコミュニケーションサービスが主流の座を占めるようになってきたことだ。そのことを象徴しているのが、近年の「Instagram」や「TikTok」など写真や動画を主体としたサービスの人気であり、着うたで驚いていた時代から考えると隔絶の感がある。
そしてもう1つ、スマートフォンと4Gの普及が大きく変えたのは、スマートフォンがインターネットの主流の座を占めるようになったことだ。先にも触れた通り、フィーチャーフォン時代ではインターネットサービスはPCから利用するのが“本流”で、携帯電話からの利用は“サブ”という認識の人が多かったが、スマートフォンと場所を選ばず高速通信ができる4Gの普及でその認識は大きく変化。今ではスマートフォンでの利用を前提にしたインターネットサービスが当たり前となっている。
それに伴い、利用が広がったのが生活に密接したサービスで、「メルカリ」などのフリマアプリや、「PayPay」などのスマートフォン決済サービスがその代表例といえる。実はディー・エヌ・エーが携帯電話向けネットオークションの「モバオク」を開始し、モバイルで決済ができる「おサイフケータイ」が登場したのはいずれも2004年のこと。20年近くたってようやくそれらが一般的になったことを考えると、モバイルインターネットやサービスの社会的理解と認知が進んだことが、この20年における最大の変化といえるのではないだろうか。
2018年末にPayPayが実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」に端を発した、いわゆる“ペイ戦争”は、スマートフォン決済の普及を急促進した一方で、多くの会社が疲弊し再編が進むきっかけにもなった
「デコ電」からケースへ、端末を“飾る”文化にも変化が
モバイルに関連するカルチャーとして、もう1つ注目しておきたいのが端末を“飾る”文化である。実は携帯電話を何らかの形で飾り立てて他の人と差異化するという行為は、長きにわたって定着しており、90年代に流行した「光るアンテナ」などもその一例といえる。
では20年前、フィーチャーフォン時代に人気を博していたのは何かというと、「デコ電」だろう。キラキラしたガラス素材などを携帯電話に貼り付け、自分好みのデザインにカスタマイズするデコ電は、フィーチャーフォン時代に女性を主体として高い人気を獲得。当時街中には、携帯電話をデコレーションするショップが多数現れたほどだ。
だがそれも、スマートフォンの浸透とともに大きく変化することとなる。スマートフォンは折りたたみ型が主流だったフィーチャーフォンと比べ構造がシンプルなことに加え、当初は衝撃に弱くディスプレイなどが割れやすい端末も少なからずあったことから、ケースを装着して本体を保護することが一般的なものとなっていった。そこで新たに生まれたのが、デザインに工夫を凝らしたスマートフォンケースで飾り立てるという文化である。
ケースはデコ電と違って付け外すだけで簡単に外観を変えられる上、デコ電のように手間がかからないことから、スマートフォンの普及とともに多種多様なスマートフォンケースが登場。若い女性だけでなく幅広い層の人達が、ケースでスマートフォンの外観をカスタマイズするという文化が定着した。
現在は4Gから5Gへの移行が本格化しつつあり、社会的にもモバイルネットワークの重要性がいっそう高まっている状況だ。それゆえ今後も形を大きく変えながらも、モバイルのコンテンツや文化は広がりを見せていくことになるだろう。次の20年、モバイルを取り巻く文化がどう変化していくのか、その動向を引き続き見守っていきたいと思う。
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