新料金プランが好調も、値下げの影響をどうカバーする? 4キャリアの決算を振り返る:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの2020年度決算と、楽天の第1四半期決算が出そろい、新料金プラン導入後の状況が徐々に見えてきた。中でも、オンライン専用の料金プランは各社とも好調に推移していることがうかがえる。それに伴う減収影響も徐々に拡大していく見込みだが、非通信領域でカバーしていく。
値下げによる収入、収益への影響は? 各社の今期予想を振り返る
一方で、オンライン専用料金プランは、各社のARPU(1契約あたりからの平均収入)より安く設定されていることもあり、料金プラン変更が多いと、減収の要因になる。オンライン専用プランだけでなく、各社ともデータ容量が無制限のプランやサブブランドまで値下げしているため、影響は多岐にわたる。ドコモの井伊氏は「ギガホ プレミアやahamoなどの新料金を発表しただけでなく、MVNO向けの音声卸やデータ接続料金も値下げを始めている。こういったことのもろもろが収益を下げる」と語る。
大手3社は、この影響をどう見ているのか。ドコモは、2021年度の通信事業の営業利益がトータルで111億円の減益になると見込む。ahamoなどへの移行がどの進むか見通せないため、「通期でのインパクトは見通せない」(井伊氏)というが、「かなりしっかり(減収が)あるので、コスト削減策やネットワークと販売コストを下げることで、マイナス111億円に“とどめる”という表現をした」という。
KDDIは、「ざっと計算すると、600億円から700億円の値下げ影響がある」(高橋氏)とする。全ブランドを含んだマルチブランド通信ARPUは、4400円から4200円に減少する見通しだ。高橋氏によると、「逆算すると、auユーザーの10%ぐらいがpovo、UQ mobileに変わっていく。マルチブランド戦略になるので、比率を考えるとこのぐらいになる」という。100万契約が見えたpovoに加え、KDDIは2月にUQ mobileの料金を大幅に下げているため、この影響も小さくなさそうだ。
「携帯電話の値下げ(要請)に頭を抱えた昨年(2020年)だったが、その影響が今年(2021年)大きく出る」(宮川氏)というソフトバンクも、通信料収入は減少する見通しを示す。その影響額はKDDIとほぼ同じで、「ざっくり言うと、700億円ぐらいのインパクトがある」(同)という。大手3社とも、新料金プランへの移行が進んだり、ユーザーの獲得は増えたりしているが、身を削った値下げだったといえる。一方で、楽天モバイルは、新規参入で有料サービスも始まったばかりのため、これ以上の減収はない。同社は、「2023年度の黒字化達成を目指す」(山田氏)方針だ。
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