日本の携帯料金は下がったけど、通信とサービスの品質は? MM総研が調査
総務省が実施した2020年度の「電気通信サービスに係る内外価格差調査」では、日本の携帯料金は諸外国と比較しても安いという結果になった。しかしこの調査はあくまで価格に焦点を当てたもので、通信やサポートなどの品質は考慮していない。そこで総務省は、MM総研が実施した「携帯電話サービスの品質に関する国際比較についての調査」を紹介した。
総務省が5月25日に公開した、2020年度の「電気通信サービスに係る内外価格差調査」では、国内MNO(通信キャリア)の料金は値下げ傾向にあり、シェア1位のスマートフォン(日本はドコモ)に関しては、東京はおおむね2〜3番目に安いという結果になった。
しかしこの調査はあくまで価格に焦点を当てたもので、通信やサポートなどの品質は考慮していない。そこで総務省は、5月31日に開催した「競争ルールの検証に関するWG(第19回)」にて、MM総研が実施した「携帯電話サービスの品質に関する国際比較についての調査」を紹介した。
MM総研によると、携帯電話の通信品質に関して、日本を含む国際比較を行っている機関は、韓国科学技術情報通信部(KCC)、英Opensignal、米Ooklaの3者だとした。これら3者の国際比較で、内外価格調査の対象都市のある6カ国(日本、米国、英国、フランス、ドイツ、韓国)のうち、日本の携帯電話の通信品質は、全体として高く評価されているとした。
一方、KCCの調査によると、東京のLTEの接続率と送信成功率は、サンフランシスコとパリと並んで100%だったが、通信速度と遅延時間が平均値を下回っており、全項目で必ずしも日本の品質が高いわけではないことをMM総研は指摘する。
MM総研は、内外価格差調査の対象都市のある6カ国にて、携帯電話サービスの品質について満足度調査を実施した。各国のユーザーに、通信速度とサポート品質の5項目で満足度を尋ねたところ、日本は全ての項目で「非常に満足」「満足」と回答した割合が低かった。
通信品質について、日本は「非常に満足」「満足」の合計が40.6%で他国よりも低いが、「通信速度が遅い」を不満点に挙げている率は6カ国とも50%前後で大差ない。エリアカバーについても日本は「非常に満足」「満足」の合計が44.0%と低く、日本では「郊外ではつながりにくい」と回答した割合が56.8%でドイツに次いで高かった。
サポート品質の契約事務手続きや変更手続きの簡便さについて、日本は「非常に満足」「満足」の合計が29.9%と低く、不満点のうち「手続きの手順や方法が分かりにくい」「手続きに要する時間が長い」の回答率が高かった。店舗での対応も日本は「非常に満足」「満足」の合計が28.7%と低く、特に待ち時間の長さを不満点とする率が高かった。
今回の満足度調査は6カ国で実施したものだが、どのレベルの通信品質とサポート品質を求めるかは、各国のユーザーによって異なる。実際、通信速度を不満点に挙げている率は、6カ国とも50%前後で大差ないが、日本の満足度が最も低いということは、それだけ日本ユーザーの求める品質が高いことを示しているといえる。ちなみに通信品質は、「非常に満足」「満足」に「普通」を加えれば、6カ国とも80%〜90%で落ち着いている。
料金と通信速度は客観的なデータとして活用できるが、エリアについては人口カバー率が1つの指標になり得るし、サポート品質も公平に比較するなら、コールセンターへの入電数や応答率、店舗の待ち時間など、客観的なデータを活用すべきだろう。満足度調査は参考程度にとどめておいた方がよさそうだ。
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