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弱点解消でY!mobileに対抗、MVNO並みの安さに UQ mobile「でんきセット割」の狙い石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

KDDIが、UQ mobile向けに「でんきセット割」を導入した。セット割適用後の料金は、3Gプランが990円(税込み)となり、MNOが回線を貸すMVNOと同水準の料金になる。料金プラン改定後の動向や、新サービス導入の狙いを聞いた。

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 KDDIが、UQ mobileに新たなセット割を導入した。「でんきセット割」が、それだ。適用時の料金は、3GBプランが990円(税込み、以下同)。UQ mobileはKDDI自身が運営するMNOだが、セット割適用後の料金は、MNOが回線を貸すMVNOと同水準の料金になる。家族で複数回線を契約した際の割引や、固定回線とのセット割は一般的だが、電気サービスとの組み合わせでここまで大幅な割引を受けられるのは異例。メインブランドのauにも、電気サービスとのセット割は提供されていない。

 合わせて、KDDIは7月からUQ mobileを全auショップ、au Styleで取り扱い、販路を拡大。リアルな店舗でサポートを受けられることを、料金水準の近いpovoとの差別化要因にしている。2月に導入した新料金プランが好評を博して契約者数が急増しているなか、手綱を緩めずに次の一手を打った格好だ。ここでは、料金プラン改定後の動向や、新サービス導入の狙いを、KDDIのパーソナル事業本部 マーケティング本部 副本部長の村元伸弥氏と、次世代ビジネス企画部長の長谷川渡氏に聞きつつ、UQ mobileの戦略を考察していく。

村元伸弥
KDDI パーソナル事業本部 マーケティング本部 副本部長の村元伸弥氏
長谷川渡
KDDI パーソナル事業本部 次世代ビジネス企画部長の長谷川渡氏

新料金プランの導入効果で3月に伸びが加速、勢いづくUQ mobile

 2月に導入した新料金プランの「くりこしプラン」は、1回線からでも割安な料金体系や、余ったデータ量を繰り越せる仕組みが話題を集めた。データ容量が3GBの「くりこしプランS」は月額1628円、15GBの「くりこしプランM」は2728円、25GBの「くりこしプランL」は3828円。同社と位置付けが近いソフトバンクのY!mobileを下回る価格を打ち出した。いずれのプランにもデータ容量の繰り越しがつく他、ユーザー自身がデータ容量を消費しない「節約モード」に切り替えることもできる。

 こうした料金プランを導入したことが功を奏し、新規契約者数は急増。2021年5月には300万回線を突破した。村元氏によると、導入後3カ月間の実績は前年と比べて3倍に伸びたという。2月から4月は、年間で最も新規契約が多い春商戦であることを踏まえると、その勢いが分かるはずだ。もっとも、実際にユーザーが大きく伸び始めたのは導入直後ではなく、3月に入ってから。1カ月間程度のタイムラグはあった。

UQ mobile
2月に導入した新料金プランが好評で、契約数は前年同月比で3倍に伸びたという
UQ mobile
累計契約者数は300万を突破した

 長谷川氏は、その理由を「市場がオンラインのプランで動いた」と分析しながら、次のように語る。

 「2月に新料金を入れたが、オンラインプランの情報が出て固まるまでは、そんなに大きな動きはなかった。3月に入ってから情報が出そろい、オンラインのプランとUQ mobileのサービスを比較して見ていただけた。(povoと同額でのデータ容量は)15GBだけど、繰り越しや節約モードがあり、お店もあるのでUQ mobileがいいと選んでいただいている方が多い。世の中の話題はオンライン一色だったが、そこはちゃんと見ていただくことができた」

 料金そのものの安さに加え、上で挙げた繰り越しや節約モードといった仕掛けも、ユーザーからは好評を博しているという。村元氏は、「お客さまがどういうふうに使いたいかにここまで寄り添ったパッケージはない」と自信をのぞかせる。節約モードであえて速度を制限することで、データ容量を余らせ、翌月のデータ容量を普段より増やすことができる。こうした自由度の高さが、料金の安さと相まって評価されている格好だ。

UQ mobile
ユーザー自身が節約モードを選んで、データ容量を節約できる。MNOがこうしたサービスを提供しているのは珍しい

 データ容量の繰り越しについては、UQ mobileと直接競合するY!mobileも追随。8月に、新料金プランの「シンプル」に導入する。これに対し、長谷川氏は「繰り越しは追随されたが、いつでもデータ容量を残して翌月に持っていける節約モードがあるのはUQ mobileの強み。片方が追い付かれただけなら、まだまだ優位性はある」と語る。ユーザー自身で通信速度を制御する節約モードは、ネットワーク側との連携も必要になり、即対抗するのが難しい。こうした事情もあり、UQ mobileの優位性はしばらく続く可能性がありそうだ。

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