新料金プラン「マイピタ」が好調のmineo 1.5Mbps使い放題のサービスに踏み切った狙いは?:MVNOに聞く(2/3 ページ)
MVNOの中でいち早く料金値下げに踏み切った「mineo」。6月からはデータ容量超過後の通信速度を1.5Mbpsに高め、以降を使い放題にする「パケット放題Plus」を導入した。新料金プラン「マイピタ」からパケット放題Plusの狙いまで、mineo事業を統括する福留康和氏に聞いた。
1.5Mbpsで十分という声が77%
―― 通信品質を改善する中で、6月からパケット放題Plusをスタートしました。やはり使い放題へのニーズは高かったのでしょうか。
福留氏 お客さまと会話をする中で、お得さと快適さのバランスを考慮して決めたサービスです。今回のサービスに関しても、ファンとの共創ということで、会話を重ねながら速度や価格を決めていきました。サービスの提供に先立ち、トライアルも実施しています。トライアルでは、3月に1Mbpsと1.5Mbpsをそれぞれ試しました。結果として、1.5Mbpsだと「十分すぎる」「十分でちょうどいい」という方が77%にも上りました。「やや遅いが十分」まで加えると96%です。ところが、これを1Mbpsにすると、77%が32%まで下がります。
トライアルをした結果、0.5Mbpsの差がお客さまの体感品質に大きな影響を与えることが分かりました。これは、今あるほとんどのサービスが、1.5Mbpsなら十分に使えるということです。他社のサービスを併用していた方もいましたが、その方からも、1Mbpsと1.5Mbpsでは使用感全然違うという声をいただいています。じゃあ、2Mbps、3Mbpsならもっといいのではという話もありますが、お得にご利用いただけることも重要だと考え、今回は1.5Mbpsにしています。
―― わずか0.5Mbpsの差で、そこまで変わるんですね。
福留氏 メールや音楽ストリーミング、SNS、QRコード決済、地図アプリ、動画視聴の一部であれば、十分使えます。逆にZoomなどのWeb会議やアプリのアップデートは、やや遅さを感じますが、利用はできます。これが1Mbpsだとそこまではスムーズに使えなくなります。われわれも、やってみて初めて分かったことです。
―― 逆に、1.5Mbpsだとできないことはありますか。
福留氏 動画はダウンロードやアップロードをすると、時間がかかります。見る場合も、1080pのような解像度だと、少し止まることがあります。ただしわれわれの場合、高速通信はオン、オフの切り替えができるため、高速で利用したいときにだけ、節約のスイッチをオフにしていただければと思います。この自分で通信速度を切り替えられる仕組みは、大きな強みになっています。
3日で10GBの制限は通常の使い方なら超えない
―― 反響や実際の申し込み状況はいかがですか。
福留氏 多数のメディアに取り上げていただき、Twitterでも当日のトレンドに入りました。6月1日に開始してまだ2週間程度ですが、既に3万2000回線にご契約いただいていて、大変好評です。新規獲得のバンドル率もとても高く、契約時に合わせてお申し込みされる方が全体の3割程度います。オプションでは、音声通話の「10分かけ放題」がありますが、これを超えて1番申し込まれるオプションになっています。
―― 使い放題ということで、大量のデータが流れそうですが、せっかく増強した帯域が不足してしまうということにはならないのでしょうか。
福留氏 今のところは想定の範囲内の使われ方です。できるだけ多くのお客さまに快適にご利用いただきたいので、3日で10GBという制限も設けています。3日で10GBという制限は、通常の使い方ならなかなか超えません。目安としては、HD品質の動画だと3日で13時間ぐらい、SD品質だと47時間ぐらいで、普通にスマートフォンを使っているだけだと、制限に引っ掛かることは少ないと思います。
また、トライアルを実施した際に、ネットワークへの負荷についても検証しています。当然、昼の通信量は増えますが、その分帯域の増強はして、ご利用いただいている方々に品質面での影響が出ないようにしています。
―― ちなみに、料金に関しては10GB以上のプランで無料になります。その意図を教えてください。
福留氏 MNOが多いですが、他社の中には容量超過後の速度を標準で1Mbpsにしているところがあります。お得で快適にご利用いただけるサービスとして、できるだけたくさんの方にお選びいただきたかったため、このようにしています。
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