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3GBプランで攻勢をかけるLINEMO MVNOからのユーザー流入が進む可能性も石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

ソフトバンクがLINEMO向けに、月額990円で3GBの「ミニプラン」を提供開始した。ミニプランを導入することで、競合のMNOに加え、MVNOユーザーの流入も見込める可能性が高い。前身のLINEモバイルと比べ、ユーザー数の伸びが大きく拡大しているLINEMOだが、週単位で細かな改善を繰り返す開発体制がそれを支えているという。

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3GBで料金はわずか990円の衝撃、MVNOからのユーザー獲得が進む可能性も

 こうした改善を繰り返すことで、「ようやく裾野を広げても安心できる状態になった」(同)。満を持して投入したのが、新料金プランの「ミニプラン」だ。同プランのデータ容量は3GBで、月額料金は990円(税込み、以下同)。もともとは20GB、2728円の「スマホプラン」一択だったが、ミニプランの導入で2プラン構成になった。スマホプランと同様、LINEのトークや音声通話、ビデオ通話のデータ使用量にゼロレーティングが適用され、データ容量のカウントから除外される他、1回5分までの準音声通話定額が無料になるキャンペーンも適用される。

LINEMO
ミニプランとスマホプランの違い。データ容量以外には、特典や容量超過後の速度に違いがある
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データ容量は少ないが、LINEのトークと通話、ビデオ通話がカウントされない「LINEギガフリー」は含まれる
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準通話定額のキャンペーンもスマホプランと同様に適用され、お得度が高い

 データ容量や料金以外では、容量超過後の通信速度やLINEとの連携で、スマホプランとの差がある。ミニプランは、3GB消費後に最大300kbpsに制限される他、スマホプランの売りの1つだった「LINEスタンププレミアム ポイントバック」も適用対象外になる。代わりに、「家族や電気サービスへの加入などの条件は一切なく、税込みで990円になる」のがミニプランの魅力だ。3GBで990円の料金プランは、どちらかといえばMVNOの水準に近い。

 例えば、IIJmioの「ギガプラン」は2GBが858円、4GBが1078円で、LINEMOのミニプランが、ちょうど2GBと4GBの間に収まる料金設定になっていることが分かる。OCN モバイル ONEは3GB/月コースが990円で、LINEMOのミニプランと同額だ。LINEMOと同じMNOの場合、UQ mobileの「くりこしプランS」が、auでんきやUQでんきのセットで3GB、990円になるが、1人の契約で特別な条件なく990円という金額は、MNOの料金プランとしては破格といえる。1GB超から3GB以下が1078円の楽天モバイルに対抗する意味合いもありそうだ。

 スマホプランは20GBで2728円とリーズナブルな一方で、市場全体では「低容量のお客さまが多い」(同)。MM総研のデータでは、全体の6割が3GB以下で、MVNOのLINEモバイルも「8割以上が3GB以下」(同)のプランを契約しているという。ただし、ターゲットはスマホプラン一択だったころのLINEMOから変えていない。「オンラインに対応できる方でないと、ここは難しい。eSIMにしろ、eKYCにしろ、理解はしていただかないといけない」(同)という。

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データトラフィックの総量は増えている一方で、依然として3GB以下のユーザーは多く、二極化が進んでいることがうかがえる

 若年層はデータ利用量が多いと見られがちだが、「LINEモバイルで3GB以下の方が8割いたことを考えると、コストをセーブしたいという方もいる」(同)。こうしたユーザーは、料金の高さかさからMNOの利用を諦めていたといえる。MVNOを契約しているユーザーは、もともとオンラインでの手続きと相性がいい。MNOとして運営しているLINEMOは相互接続点のボトルネックがなく、相対的に通信品質も高いだけに、ミニプランに移るユーザーも増える可能性はありそうだ。

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LINEモバイルのユーザーも、8割以上が3GB以下のプランを契約しているという

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