楽天モバイルの黒字化はいつ? カギを握る「人口カバー率」と「楽天経済圏の拡大」(2/2 ページ)
楽天グループ2021年度第2四半期の決算は、モバイル事業への投資が響いて635億円の赤字。2021年内に人口カバー率96%を達成することで、ローミング費用が減り、赤字は大きく改善されるという。モバイル事業で楽天経済圏を拡大することも、収益に貢献するとみている。
通信プラットフォーム事業で黒字化の前倒しも?
もう1つ、楽天グループが期待するのは通信プラットフォーム事業だ。同社が開発している、仮想化ネットワークの構成要素をパッケージ化した「RCP(Rakuten Communications Platform)」を、ドイツのMVNO「1&1」に提供することが決定。今後はRCPからの売り上げも期待される」と三木谷氏。RCPについては「各地で商談を行っており、多くのキャリアに歓迎されている」と同氏は期待を寄せる。
ネットワークだけでなく、会員サービスやコンテンツなども含めてキャリア事業を支援する事業組織「Rakuten Symphony(楽天シンフォニー)」も発表。モバイル事業は「2023年に単月黒字化を目標にしている。それが1年早めるのは難しいかもしれないが、(黒字化の)前倒しもRakuten Symphony次第で可能になってくると思う」と三木谷氏は期待を寄せる。
iPhoneはブランディングの側面でプラス
楽天モバイルで4月から販売している「iPhone」については、端末値引きが2万円以内に規制されていることから、「すぐに、われわれの加入者数が激増することはない」(山田氏)ものの、iPhoneは日本のスマホシェアで約半数を占めていることもあり、「ブランディングの側面で考えると、長期的に大きなプラスになる」と同氏。
iPhoneの現行機種はeSIMに対応しており、オンラインで本人確認ができるeKYCと組み合わせて簡単に契約できることも特徴だ。このeSIMに関連した「非常に大きなプロモーションキャンペーンを予定している」(山田氏)とのこと。「iPhoneユーザーのデータの利用量は、他の端末よりも多いことが分かっている」ことから、「数年以内にはブレークイーブン(プロモーション費用と利益が等しくなること)になる」と予想する。
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