女子スマホ「Civi」を立ち上げたXiaomi “3本柱”で世界シェア1位を目指す(1/2 ページ)
Xiaomiが9月27日に中国で実施した発表会で、美顔効果などを前面に押し出した女性向けスマートフォン「Civi」を発表。世界的に使っていた「Mi」ブランドも廃止し「Xiaomi」の名前を強くアピールする。
Xiaomiは9月27日に中国で新製品発表会を行い、新しいスマートフォン「Civi」を発表した。美しい本体デザインにセルフィー機能を強化、女性をターゲットにした新しいラインアップとなる。Xiaomiは9月の新製品からグローバルで使っていた「Mi」ブランドも廃止し、新たに3つの柱で販売数を一気に広げようとしている。
本体の美しさとセルフィー機能を売りにするCivi
CiviはプロセッサにSnapdragon 778Gを搭載、ディスプレイは6.55型(1080×2400ピクセル)、バッテリー容量は4500mAhで55Wの高速充電に対応する(45分で満充電)。カメラは6400万画素+800万画素の超広角+200万画素のマクロというトリプル構成。しかしこれらのスペックはCiviの特徴を表すものではない。
Civiは本体サイズが71.5(幅)×158.34(高さ)×6.98(厚さ)mm。7mmを切る薄さに重量は166gと軽い。さらに背面処理はOPPOが海外で販売する「Reno6」などに代表される、細かいダイヤモンドカットを施した「Reno Glow」によく似た仕上げとしている。薄くて軽く、さらに美しいボディーがCiviのデザイン上の大きな特徴だ。
そしてCiviは3200万画素のインカメラを搭載し、美顔機能を強化した。美顔といえば、数年前の中国メーカーのスマートフォンではトレンドとなっていたが、ここ最近はこの機能をフィーチャーした製品はあまり見かけない。それは各メーカーの美顔モードが既に一定のレベルに達しているからだろう。また最近はボケを効かせたポートレート写真にトレンドが移行しているからだ。とはいえ、ボケをかけるにしても、まずは自分の顔を美しく写したいと考えるユーザーは当然ながら多い。
Civiはより自然な美顔効果が得られることを売りとしており、製品発表会では某社「6 Pro」よりもナチュラルな仕上げのセルフィーが撮れることを見せてくれたが、これは「OPPO Reno6 Pro」との比較だろう。OPPOやvivoなどライバル各社ともに美顔効果は一定水準に達しているが、XiaomiはCiviで「より自然らしさ」をアピールしている。
このように、Civiはスマートフォンとしての基本スペックで戦う製品ではなく、本体の美しさとセルフィー機能を売りとして女性層に売り込みをかける製品なのだ。化粧品メーカーのL'Oreal(ロレアル)やフィットネスサービスのKeepとのコラボ製品も販売するなど、20代から30代の女性向けのさまざまなキャンペーンも展開予定だ。
世界シェア1位のために女性にも製品を売り込む必要あり
デザインに注力したスマートフォンは既に中国の他のメーカーからも多数出てきている。しかし中国国内で圧倒的に人気の高いiPhoneに比べるとブランド力で劣ることから、デザインだけで選ばれる製品は多くない。特にブランドにもこだわる女性層をターゲットとするのであれば、なおさらだろう。Xiaomiは2019年11月に女性向けのスマートフォン「CC9」を発売したものの、後継機は出てこなかった。シンプルなデザイン、美しいパッケージ、また前年に買収した女性スマートフォンメーカー「Meitu」のモデルを投入したものの、売れ行きは思わしくなかった。
2019年のやや古いデータだが、中国テンセント系の調査機関が調べたところによると、Xiaomiのスマートフォンの購入者の男女構成比率は男性61.8%、女性38.2%となる。これに対してHuaweiは男性51.5%、女性48.5%と比率は約半々、そしてAppleは男性46.4%、女性53.6%と女性の方が多い。Xiaomiとしてはこの女性層を増やすためにCC9を投入したのだが、当時のXiaomiの状況では時期尚早だったといえる。
しかし今やXiaomiはスマートフォン出荷量でグローバル2位、Android 5Gスマートフォンではグローバル1位メーカーにまで成長した(いずれも各種調査機関による第2四半期データ)。この勢いが続けばいずれ世界シェア1位も実現可能だろう。だがその野望に到達するためには、弱いとされている女性層にも製品を売り込む必要がある。
CC9投入の2年前に比べ、Xiaomiは高性能カメラフォンを次々と出すなど技術力も認知されている。今度こそ「Civiが欲しい」と女性層に思わせるだけに製品に仕上がっているはずだ。Civiのグローバル展開は不明だが、まずは世界最大市場の中国国内で勝負をかけ、その後アジアやアフリカ市場へ展開する可能性も十分ある。
関連記事
- Xiaomiのスマホが絶好調 世界2位、中国3位の秘密を探る
2021年第2四半期の世界のスマートフォン出荷シェアでXiaomiが初の2位に躍り出た。日本でもコスパの高い製品をSIMフリー市場のみならず通信事業者にも提供することで、ユーザーを着々と増やしている。Xiaomiにとって母国である中国市場の攻略も重要なテーマになっている。 - 「折りたたみ、ハイエンドカメラ、カジュアル」 Xiaomiが狙う「スマホ世界シェア2位」
2021年3月26日〜27日にXiaomiが中国・北京で新製品発表会を開催し、スマートフォンのフラグシップモデルやスマート家電、そしてスマートEV(電気自動車)への参入を発表した。今回の発表会での一番の目玉となる製品は折りたたみディスプレイを搭載する「Mi Mix Fold」だ。「スマートフォン市場のリーダーはXiaomi」という印象を全世界にアピールした。 - XiaomiがAppleを抜きスマホ出荷数3位に さらに上を目指すのに必要なことは?
新型コロナウイルスの影響で、スマートフォンメーカーは出荷台数を大幅にダウンさせた。中国市場で出荷台数を回復させたHuaweiがSamsungをわずかな差で抜いて初のシェア1位となった。そして迎えた第3四半期(7月〜9月)は、XiaomiがついにAppleを抜いて3位に浮上したのだ。 - Xiaomi「Mi 11 Lite 5G」は香港でも人気 Mi 10 Lite 5GやRedmi Note 10 Proとの違いは?
日本ではFeliCaを搭載するなどローカライズして登場したXiaomiの「Mi 11 Lite 5G」。筆者の居住する香港でもMi 11 Lite 5Gはバランスの取れた5Gスマートフォンとして人気です。これから5Gを使おうと思っている人に向いた製品といえます。 - Xiaomi「Mi Mix Fold」は折りたたみなのに安い? ライバル機にはない独自機能も
Xiaomiの折りたたみスマートフォン「Mi Mix Fold」は、閉じると6.52型、開くと8.01型のディスプレイを利用できます。SamsungやHuaweiの折りたたみスマートフォンよりも価格は安く設定されています。独自機能としてPCモードも搭載しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.