ソニーがカメラ特化の「Xperia PRO-I」発表 1型センサーや可変絞り機能を搭載、約20万円
ソニーが、カメラ機能に特化したスマートフォン「Xperia PRO-I」を12月15日に発売する。最大の特徴は、広角カメラに像面位相差AFを備えた1型のイメージセンサーを搭載したこと。コンテンツクリエイターやVloggerに向けた動画撮影の新機能として「Videography Pro」も用意する。
ソニーが10月26日、カメラ機能に特化したスマートフォン「Xperia PRO-I」を発表。2021年12月15日に発売する。直販サイト「ソニーストア」や直営店「ソニーストア銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神」に加え、一部の通信事業者や家電量販店、ECサイトでも取り扱う。市場推定価格は19万8000円(税込み)。カラーはフロストブラックの1色。
Xperiaでは、現行の「1」「5」「10」など数字が付くシリーズとは別に、特定コミュニティー層のトップに向けて、「他社にはない唯一無二の価値を提供する」(ソニー)ことを目指した「PRO」シリーズを展開している。2021年2月には、映像制作やカメラ撮影などのプロユースに向けた「Xperia PRO」を発売した。Xperia PRO-Iの「I」は「Imaging」の頭文字のIで、「イメージングコミュニティーの好きを極めたい、コンシューマー向けの商品」に位置付けている。
最大の特徴は、広角カメラに像面位相差AFを備えた1型のイメージセンサーを搭載したこと。ソニーのコンパクトカメラ「RX100 VII」の1型センサーをベースに、Xperia PRO-I向けに最適化した「Exmor RS」を搭載。ピクセルピッチが「Xperia 1 III」の1.8μmから2.4μmに大きくなったことで、より多くの光を取り込んで鮮明に撮影できるようになった。広角レンズは12bitのRAW撮影にも対応しており、広いダイナミックレンジと鮮やかな色再現性も特徴としている。広角レンズはF2.0とF4.0の可変絞りにも対応しており、1型センサーならではのボケ味も出せる。
Xperiaのフラグシップモデルでおなじみの撮影スピードは、Xperia PRO-Iでも注力している。像面位相差AF対応の1型センサーにより、AFは撮像エリアの約90%をカバーする。広角カメラは、動く被写体のゆがみを抑えるアンチディストーションシャッターにも対応している。動く被写体や動物を追従してピントを合わせ続ける「リアルタイムトラッキング」や「瞳AF」も利用できる。最大60回/秒のAF/AE演算処理を行うことで、AFとAEを追従させた20コマ/秒の高速連写もこなせる。
アウトカメラは1200万画素の広角、超広角、標準の3つで構成される。焦点距離は超広角が16mm、広角が24mm、標準が50mmとなっている。Xperia 1 III/5 IIIのような可変式望遠レンズは採用していないが、これは「望遠に振ると画質の差が大きくなること」「望遠は専用機を使うユーザーが本機の対象であること」が理由だという。AFの精度を高められる3D iToFセンサーも備えている。ZEISS(ツァイス)のTessarレンズを採用しており、ガラスモールドの非球面レンズとすることで薄型にも貢献したとのこと。
カメラアプリとして、Xperia 1 IIIでもおなじみの「Photo Pro」をプリインストールしており、「プログラムオート(P)」「マニュアル(M)」などのモードダイヤルから好みの設定ができる。より大きく、ストロークが深い「本格シャッターボタン」も備えており、RX100シリーズのスイッチ部品を使っているというほど押しやすさにこだわった。Xperia 1/5シリーズにはない特徴として、ストラップホールも装備している。
コンテンツクリエイターやVloggerに向けた動画撮影の新機能として「Videography Pro」を用意。動画撮影の各種設定を手軽に変更できるのが特徴で、スライダーを使ってフォーカスやズームを調整できる。ホワイトバランスやISO感度などの設定や、水準器も用意する。ちなみに、以前から搭載している「Cinematography Pro」も継承しており、こちらは撮影前に撮りたいシーンを決めたり、印象的な表現を作ったりすることが目的となる。動画撮影時にも瞳AFとオブジェクトトラッキングに対応する他、4K 120コマ/秒のハイフレーム録画にも対応する。
録画機能も強化した。トップとボトムのステレオマイクに加えて、インカメラ側にも新たなモノラルマイクを内蔵しており、自分を映して動画を配信する際に、よりクリアに音声を録画できる。側面に搭載しているショートカットキーには任意のアプリを割り当てられるので、Videography Proを設定すればワンタッチで起動できる。
Vlogger向けのアクセサリーとして「Vlog Monitor」も用意する。これは3.5型ディスプレイ、金属製ホルダー、接続ケーブルをセットにしたもので、Xperia PRO-Iを固定してケーブルでディスプレイに接続すると、Xperia PRO-Iのアウトカメラを使って自分撮りをしながら、3.5型ディスプレイで撮影映像の確認もできる。Vlog Monitorの市場推定価格は2万5000円前後(税込み)。
ディスプレイは6.5型の4K HDR有機ELを搭載しており、最大120Hzのリフレッシュレートに対応する。強化ガラスとしてCorning Gorilla Glass Victusを採用している。プロセッサはSnapdragon 888、メインメモリは12GB、内蔵ストレージは512GBを備える。容量4500mAhのバッテリーを内蔵しており、3年使っても劣化しない性能を確保している。Xperia 1 IIIの差分として、ワイヤレス充電には対応していない。3.5mmイヤフォンジャックも備えている他、IP68の防水・防塵(じん)やおサイフケータイにも対応している。
サイズは72(幅)×166(高さ)×8.9(奥行き)mm、重量は211g。SIMは、キャリアが扱うモデルも含めてデュアルSIMに対応している。5GはSub-6のみ対応し、ミリ波には対応しない。
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