5GBで1070円への値下げは「相当きつかった」 それでもy.u mobileが料金改定した背景は?:MVNOに聞く(3/3 ページ)
USEN-NEXT HOLDINGSとヤマダ電機の合弁会社が運営するy.u mobileが、10月に新料金プランを導入した。10月に導入した新料金は、2つの軸がある。1つは、シングルプランのさらなる値下げで、容量は5GBに据え置いたまま、料金を1070円まで下げた。もう1つは、U-NEXTがセットになった新料金プランの導入だ。
5GやeSIMも前向きに検討
―― 以前のお話では、端末のセット販売もやっていきたいということでしたが、そこは手薄です。方針はいかがでしょうか。
鹿瀬島氏 競争原理もあり、料金改定を先に進めてしまいました。扱おうと思っていた某メーカーを扱いづらくなってしまったり、Androidについてはどうしようかなと思っていたりするところです。iPhoneは中古を販売しています。こちらはiPhone 13シリーズが出たので、iPhone 8がメインだったラインアップをもう少し拡充したいと思っています。
―― 現状だと、通信方式は4Gまでしか対応していません。5Gはいかがですか。
鹿瀬島氏 当然やっていきたいのですが、現状、MVNOができるのはNSA(ノン・スタンドアロン)までです。ソフトバンクがSA(スタンドアロン)を始め、ドコモも12月にやるという話になっていますが、SAをできるならやりたいという思いはあります。お客さまは5Gを使いたいと思っているので、NSAでやるかどうかも含めて、速やかに移行できるよう、準備は整えていきたいと考えています。
―― eSIMはいかがですか。
鹿瀬島氏 これもいち早くやりたいと思っています。iPhoneはデュアルeSIMに対応していますし、キャリア(MNO)も重い腰を上げ、eSIMに対応し始めました。MVNOには制約もありますが、プロファイルを入れればすぐに使い始めることができるという世界は作っていきたい。y.u mobileは、もともとシンプルをコンセプトにしていましたが、eSIMがないとやはりシンプルとはいえないと思い、重く受け止めています。
キャッシュバックをやらない代わりに月額料金を安くする
―― y.u mobileといえば、キャッシュバックをかなり積極的にやられていた印象もありますが、料金改定でそれはなくなっていくのでしょうか。
鹿瀬島氏 10月に新料金プランを出してからは、いったん終了させています。今後やるかやらないかは、いろいろな考えがありますが、シングルU-NEXTは収益ギリギリのところでやっているので、当面は考えていません。その代わりに月額料金を安くしています。
―― 最後の、加入者の目標数を教えてください。新料金プランを出しましたが、数値目標は据え置きでしょうか。
鹿瀬島氏 5年で50万というのは変わりません。今は20万ユーザーですが、目標の50万にとどまらず、その先も目指していきたいですね。U-NEXTのユーザー数を考えると、もっともっと行けると思います。100万と言い切るのは気が引けますが、気持ち的にはそのぐらい取っていきたいですね。
取材を終えて:MVNOが中容量帯を攻める契機に
y.u mobileの新料金プランは、シングルプランの値下げ以上にシングルU-NEXTを導入したインパクトが大きいと感じている。鹿瀬島氏が語っていたように、MVNOが中容量帯の料金プランに踏み込む契機になると思ったからだ。コンテンツやサービスをセットにしてシナジー効果を出せるのはMVNOならでは。低容量、低価格一辺倒になりがちだったMVNOの料金プランの中では異彩を放っている印象を受ける。
2970円という価格設定も、20GBのahamoに合わせてあり分かりやすい。契約者比率はまだまだ価格重視のシングルプランが多いものの、U-NEXTセットというお得さが伝われば、さらに伸びる可能性もありそうだ。
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