「BALMUDA Phone」の実機に触れて感じた「こだわり」と「足りないもの」 10万円超の価値はある?(3/4 ページ)
バルミューダ初のスマートフォン「BALMUDA Phone」が発表された。11月16日の発表会後、実機に触れる機会を得たので、ファーストインプレッションをお届けする。BALMUDA Phoneが問いかけるのは「今のスマホは自然なものなのか」という疑問だ。
性能はミドルハイ相当で割高感は否めないが……
スマートフォンとしてのBALMUDA Phoneの性能は、ミドルハイ相当といえる。プロセッサはQualcommのSnapdragon 765(8コア)で、メモリは6GBを搭載する。ディスプレイは4.9型で、1080×1920ピクセルのフルHD液晶ディスプレイを装備する。おサイフケータイと指紋認証、ワイヤレス充電に対応するが、防水はIPX4相当の“生活防水”だ。
スペックだけ見れば、割高感は否めない。Snapdragon 765は、2020年冬〜2021年春にかけて発売されたスマートフォンが多く採用している。ソフトバンクでは2020年冬モデルのAQUOS zero5G basicと同等程度の性能となる。京セラ製のスマートフォンでは、auから発売されたTORQUE 5GがSnapdragon 765を搭載している。AQUOS zero5G basicの発売時の価格は6万5520円(税込み、以下同)、TORQUE 5Gはauで8万8885円と、いずれも10万円は下回っている。
一方、BALMUDA Phoneの場合、プロセッサの性能だけ見れば大差はないが、メーカー直販価格は10万4800円と、先行する両モデルを上回っている。小規模な製造ロットで独自の形状に設計し、さらにアプリも新規開発したことで、製造コストに影響しているのだろう。
ソフトバンク版の価格設定は、14万3280円とさらに高額だ。ただし、割引プログラムの「新トクするサポート」を適用すれば、2年後の端末返却を条件として、2年間の実質負担額を7万1640円に抑えられる。
スペックだけ見れば確かに割高感はあるが、実際の販売時にはある程度の値引きが入ることもありうる。ソフトバンクでは機種や販売店を限定して「期間限定の割引」を実施することがあり、直近ではAQUOS zero6が量販店などでは1万4000円引きで販売されている事例もある。実際の負担感は、表面的な価格設定よりも抑えられるのではないかとも考えられる。
なお、バルミューダではSIMロックフリーモデル限定で、2021年12月31まで限定で返金保証キャンペーンを実施している。購入から30日以内であれば、事務手数料1000円を差し引いた金額を返金するという内容だ。試しに利用してみたいなら、このキャンペーンの期間にSIMフリーモデルを購入するといいだろう。
“足りない”と思う部分
筆者がBALMUDA Phoneを体験会場で率直に感じたのは「手に取ると印象が変わる」という点だ。手へのなじみ方はごく自然で、ザラザラした背面がホールド感に寄与している。この形状を作るために大きな開発費用をつぎ込んだというなら、悪くはない投資ではないと感じた。
一方で“10万円のスマホ”としてふさわしい質感や性能を備えているかというと、足りない部分はかなり多いとも思う。
丸っこい形状は独創的で、持ちやすさという実用面での課題を解決するものとなっている。ただし、意地悪な見方をすれば「机に置いたときに安定しない」という弱点があり、厚みがあるため自撮り棒やカーマウントへの装着も難しいだろう。
例えばディスプレイは2021年後半に出すのであれば、有機ELを採用してほしかった。液晶ディスプレイでのパンチホールカメラは、カメラ周辺の穴を大きく開ける必要があるため、4.9型という小さい画面の中で、かなり主張が強いように感じる。ディスプレイの画質自体も、他社のハイエンドモデルと比べると、だいぶ見劣りする。
また、カメラアプリには発表時点で、こだわりがほとんど反映されていないようにも感じた。特にカメラUIでは、率直に言って作りこみが足りない印象だ。フードモードやポートレートモードなど、被写体に応じて手動でモードを選択する必要がある。
独自アプリの、パスポートをモチーフとした統一感のあるデザインは好印象で、動作性も悪くない。スケジューラーアプリは独創的なアイデアで、使い勝手も悪くなさそうだ。
一方で、メモアプリはマルチデバイスで快適に使えるからこそ価値を生むが、PCや他のスマートフォンでどのように同期できるのかという点で、使い勝手に疑問が残る。また、時計アプリ、計算機アプリなどは、積極的に選ぶ理由になるほどの独創性があるとは思えない。例えば時計アプリで言えば、アラームの設定は音声アシスタントの方が快適に行えるようにも思える。計算機アプリには他社では多く実装されている関数電卓機能がなく、代わりに「億万ボタン」を備えているが、1億円単位の計算を行う機会がそれほど多いかと問われると疑問が残る。
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