6G時代は「テレパシーがSFの世界でなくなる」 ドコモが掲げる“人間拡張基盤”とは:docomo Open House'22(2/3 ページ)
ドコモの最新技術を紹介する「docomo Open House'22」が開幕。同社は、6Gに向けて空、宇宙にエリアを広げる取り組みを続けている。人間の感覚をリアルタイムで伝え、保存できる「人間拡張基盤」も掲げる。
「置くアンテナ」や「空飛ぶ基地局」も開発
5G Evolution & 6Gに向けて検討されている技術は、大きく8つの分野がある。
こうしたドコモが行っている研究開発の成果から、中村氏は「置くアンテナ」「HAPS」「6Gシミュレーター」について取り上げた。これらは実際に会場に展示され、デモンストレーションを見ることができた。
以前、ドコモはフレキシブルにエリアを作れる「つまむアンテナ」を披露したが、置くアンテナは、ケーブル(誘電体導波路)の上に、プラスチック片でできたアンテナを置くだけで電波が放射され、周囲をエリア化できる。誘電体導波路を壁や床に埋め込むような施工だとケーブルがつまめない。これだと置いただけでもアンテナになるのが利点だという。
エリアカバレッジを飛躍的に広げる技術が、「非地上(Non-Terrestrial)」ネットワークといわれるカバレッジ拡張技術だ。空、宇宙にエリアを広げるために、衛星やHAPS(成層圏を長時間飛ぶ基地局を搭載した無人飛行機)などが研究されている。
2021年夏にはドコモとエアバスによる実験も行われた。エアバスのHAPS「Zephyr S」が、高度20キロの成層圏から電波を地上に送信して伝搬状況を測定した。「距離20キロは、地上でもそれくらいの距離があるので、あまり難しくないですね。いろんな周波数で測定して、使えるんじゃないかという手応えは確認したという状況」(中村氏)
なお、衛星は1機で広いエリアをカバーできるので、効率的にエリアを作ることができる。衛星とHAPSは「適材適所で使っていくだろう」と語っていた。
ソフトバンクのグループ会社HAPSモバイルもHAPSの研究に積極的だが、ドコモとAirbusの実験ではHAPSモバイルの実験時よりも大幅に長い、18日間に及ぶ成層圏フライトに成功したことが大きな違いだという
同日、エアバス、NTT、ドコモ、スカパーJSATの4社がHAPSの早期実用化に向けた覚書を締結したことも発表した。静止軌道衛星(GEO)、低軌道衛星(LEO)、HAPSなどの技術を用いた「宇宙RAN」の検討を進めていく
人が使うデータだけでなく、モノが通信して使うデータによって、トラフィック量は「まだ飛躍的に伸びる」と中村氏は期待を寄せる。すると、さらなる大容量化を図る必要があり、THz(テラヘルツ)を含む高い周波数帯の利用も検討されている。ただ、「課題は山盛り」(中村氏)だ。THzに対応したデバイスがないので、デバイスから開発しなくてはならない。
そこで、まず6Gの高速通信評価のためのシミュレーターを開発した。このシミュレーターでは工場を想定し、100GHz帯の8GHz幅を利用して100Gbps以上のスループットを達成したという。
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