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povoはどのくらいの契約数? パックプランはもっと増やす?――KDDI高橋社長一問一答(2022年1月編)(1/2 ページ)

KDDIが2021年度第3四半期の連結決算を発表した。この記事では、報道関係者向けの決算説明会における注目すべきやりとりを紹介する。

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 KDDIは1月28日、2021年度第3四半期の連結決算を発表した。第1四半期からの累計で見た場合、マルチブランド通信ARPUの減収をグループMVNO収入とローミング収入の増加でカバーした他、成長領域も堅調に増収を果たしたことから前年同期比で「増収増益」となる見通しだ。

 この記事では、同日に行われた報道関係者向け決算説明会における質疑応答で行われた、注目すべきやりとりを紹介する。

用語の定義

  • マルチブランド通信ARPU:KDDIと沖縄セルラー電話が直営する「au」「UQ mobile」「povo」におけるハンドセット(ケータイ/スマートフォン)における1ユーザー当たりの平均収入
  • グループMVNO:MVNOとしてモバイル通信サービスを運営するKDDIのグループ企業(ビッグローブ、JCOM、ソラコムなど)
  • ローミング収入:楽天モバイルのローミングサービスから得られる収入

累計
2021年度第3四半期までの累計連結業績。前年度同期比で「増収増益」となる見通し
増減
営業利益の増減要因。「マルチブランド通信ARPU収入」における減収は非常に大きいが、「グループMVNO収入」と「ローミング収入」によって、トータルのモバイル通信料収入はプラスを維持した
高橋社長
報道関係者に決算の概要を説明する高橋誠社長

UQ mobileとpovoは「合計500数十万」

―― 「グループID」(※1)の純増について、マルチブランド戦略が貢献したとのことですが、具体的にはどのブランド、あるいはプランが貢献したのでしょうか。一方で、解約率は少し上がっているようですが、グループID数との相関性について教えてください。

(※1)au、UQ mobile、povoの3ブランドとグループMVNOの契約回線をID(名義)で名寄せした純粋な契約者数

高橋社長 この第3四半期は非常によく頑張ってモメンタム(いきおい)を回復して、(今まで)純減傾向だったものを純増基調に戻すことができました。

 当初、コスト重視のお客さまを中心に、auユーザーの約1割がpovoやUQ mobileの方に移行するかなと思っていたのですが、「au応援割」やiPhoneの販売などが奏功して(移行するユーザーは)1割に満たない感じとなりました。多くの方にauにとどまっていただいた、ということです。

 一方で、UQ mobileとpovoも順調に契約数を伸ばしていて、両ブランド合算で500数十万契約程度まで持ち上がっています。UQ mobileは400万契約を突破して、povoも100万契約を超えています。順調だと思っています。UQ mobileからauに移行するお客さまも、前年と比べると約2.6倍になりました。au 5Gを契約されるお客さまは6割が無制限プラン(使い放題MAX 5G/データMAX 5Gシリーズ)を選んでいる状況です。

 こうして見ると、auとUQ mobileやpovoとの間の“循環”が非常にうまく行き始めていると理解していただければいいのかな、と思います。

 解約率が若干上がっていることは事実ですが、これはあまり深刻な事態だとは思っていません。特にauで、12月に他事業者との競争が激しくなったことが影響しています。全体としてはモメンタムは回復してきているという見立てです。

資料
純減傾向にあったグループID数は、この第3四半期に純増傾向に戻った。前の四半期から解約率が高まったのは、2021年12月における競争の激化が原因のようだ

―― 「povoが100万契約を超えた」という話がありましたが、前の決算説明会でも同じことを言っていたと思います。数字について、もうちょっと詳しく説明していただけないでしょうか。

高橋社長 povoの詳細な契約者数については非開示としています。前の四半期で100万契約を突破した後、povo1.0(当初のpovo)が少し減って、povo2.0(現行のpovo)がザッと増えたという状況です。(povo1.0と2.0を合わせて)100数十万契約という感じでしょうか。

 povo2.0はまだ始まったばかりで、1月27日から新しいCMをスタートしました。「#ギガ活」も活発化してきたので、今後の展開にご期待いただければと思います。

バンドル(パック)プランへの取り組み

―― 先日、「DAZN(ダゾーン)」をセットにした新しい料金を発表されました。意気込みを教えてください。また、なにゆえにいろいろなサービスをバンドルしたプラン(ALL STARパック)を用意しているのかも教えてください。

高橋社長 5Gを展開し始めてから分かってきたことがあります。私たちはお客さまはに(携帯電話やプランの)利用シーンを提案していかないといけないわけですが、5Gになると道路(通信回線)は高速道路となって広く(速く)なります。スマートフォンもパフォーマンスも非常によくなっています。(スマホはある意味で)スーパーカーになってきている状況です。(1ユーザー当たりの平均トラフィックを比べると)au 5Gのお客さまは、au 4G LTEお客さまの約2.5倍を超える通信を行っています。

 「お客さまは何をどのように使っているのか?」と考えた時に、OTTやハイパースケーラー(大規模配信事業者)のコンテンツを楽しむ人が、ここ最近はさらに増えています。そうであれば、私たちが他社に先駆けて作ったALL STARパックをより魅力的なものにしようと、今回DAZNだけでなく、「Amazonプライム」や「GeForce NOW」も追加しました。 (バンドルされる)OTTサービスの月額料金は総額で9000円を超えていますが、プランは月額9988円のまま据え置きました。コンテンツを楽しむことが大好きな方にとって、より魅力的なプランになったと思います。

 povo2.0でも、利用中のデータ使い放題を含めたDAZNのトッピングを用意しました。DAZNには独占配信のコンテンツもあるので、トッピングをうまく使って楽しんでいただけたらと思います。

5G
5Gスマートフォンの累計販売数は2021年12月末時点で620万台となった。au 5Gユーザーは4G LTEユーザーの平均2.5倍超のデータ通信量を消費しているという

―― DAZNのパックプランなのですが、(ベースとなる料金プランを勘案すると)DAZNを単体で契約する場合に比べてかなり安くなります。このようなパックプランは今後も拡充していくのでしょうか。

高橋社長 ハイパースケーラーとはいろいろな契約形態があります。サービスを取り次ぐケースもあれば、卸提供を受けて再販するケースもありますし、(KDDIのように)いろいろ工夫をしながらパックプランを作って提供することもあります。

 パックプランのように(何らかのサービスを)セットにしたプランを使ってくださるお客さまは、そうでないプランを契約しているお客さまと比べると解約率が極めて低いということが分かっています。その効果を見定めながら、より魅力的なプランを作るべく分析やシミュレーションもしています。今後も(パックプランは)強化していきたいと考えています。

る。今回もいろいろ工夫して作っている。こういうものを使う人は解約率が非常に低い。高価を見定めながら、より魅力的なサービスにしようということでこうなった。先駆的にやってきたつもり。今後も強化していきたい。

ALL STARパック
5Gでデータ通信量が増えている原因の1つが、動画などのストリーミングサービスである。そのことから、2022年2月から「使い放題MAX 5G ALL STARパック」で利用できるサービスを拡充する
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