今なおスマホのカメラに足りないと思う「2つの機能」 2022年の進化を占う:荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(1/5 ページ)
2020年に「超広角・広角・望遠」のトリプルカメラが定着し、2021年はどこを強化するか、カメラを増やすのか、それぞれのカメラを強化するのか。意外と面白い展開となった。
さて、2022年になって1カ月がたったのだけど、2021年のスマホカメラは各社の工夫が面白かったですな。
2020年に「超広角・広角・望遠」のトリプルカメラが定着し、さあ2021年はそれのどこを強化するか、カメラを増やすのか、それぞれのカメラを強化するのか、どうするんだろうと思っていたら、まあ各社それぞれ違う手を打ってきたのが面白い。
だいたい
- メインカメラを強化する
- 望遠カメラを強化する
- 超広角カメラを強化する
- 4つ目のカメラを追加する
の4つから幾つか組み合わせるだろうってのは想像できたんだが、なかなか予想以上の手を打ってくるところもあって楽しいのである。
メインカメラを強化する まさかの1型センサー搭載!
3つあるカメラの全てを同じ性能にそろえることはコスト的にも空間的にも困難なので、最も使用頻度が高いメインカメラともいえる「広角カメラ」を優先的に強化して画質の向上を狙うのが一般的だ。
カメラの基本性能を上げるには、イメージセンサーを大きくする、レンズのF値を下げる(レンズ性能を上げる)、画素数を(画質が落ちない程度に)増やすなどがあるけれども。
みなメインカメラのイメージセンサーサイズを大きくして画質を上げてきているのだけど、衝撃的だったのはシャープのAQUOS R6とソニーのXperia PRO-I。何と1型センサーという、他の端末よりデカいセンサーを積んできたのだ。
一般にセンサーサイズが大きくなればなるほど画質は上がる。単純に「1画素あたりのサイズ」が大きくなるわけで、画素サイズが大きくなると、より多くの光を受けられるから、光が弱い(つまり暗い)場所でもちゃんと撮れる(高感度に強くなる)、画素サイズが大きくなるとより多くの光を受けられるからダイナミックレンジが広くなる、という画質における大きなメリットがあるのは確か。基礎体力が違うって感じ。
センサーサイズがぐっと大きくなるとその分、レンズの直径も大きくしなきゃいけないし、レンズの奥行きも必要だし、ということでスマホサイズに収めるためのレンズ設計も難しいが、画質面でのメリットは大きいのだ。
ただ、実際の写りでどれだけ差が出るか、って考えるとどうなんだろう。センサーやレンズ以外の技術が絡んでくるので難しいけど、少なくとも同等ランク(つまりハイエンドクラス)のスマホと比べた場合、確かに違うけど、ぱっと見た感じ、そこまでの差はないかなと思う。
一般的なハイエンドスマホのセンサーはイメージセンサーの面積でいうとほとんどが1型の半分以下(センサーサイズは公表されないので推測になるけどおおむね35〜50%くらいだが)なんだが、スマホはセンサーが小さいなりにそれを補うべく最先端の技術を駆使しているからだ。
小さいけれども高速読み出しが可能(連写が超速くなる)でリアルタイムHDR処理が可能なセンサーを用い、「コンピュテーショナルフォトグラフィー」を駆使して結果としてかなり頑張っている。
これなんか典型的で面白いのでぜひ。
ボケの差を見ようと思って撮ったカットで、実際、Xperia PRO-Iの方がきれいにボケていてボケも大きくていいのだけれども、目に付くのはむしろ画作りの違いだ。
Xperia PRO-Iに比べてiPhone 13 Proは色も派手だし(わざとらしく)空も青いしくっきりしている。見る人によって感想は分かれてくると思う。
良い悪いじゃなくて、iPhone 13 Proはコンピュテーショナルフォトグラフィーを駆使してわざと印象的な絵作りをしているし、Xperia PRO-Iは同社のαシリーズなど本職デジカメに似た写りにしているからだ。
これはもうコンセプトの違いだ。Xperia PRO-IはPROの名の通り、自分でどう撮りたいか調整して本職カメラのように使えるというコンセプトで画作りもアプリの設計もしているから。
スマホカメラ的な絵作りとデジタルカメラ的な絵作りの差といっていい。
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