第2世代よりも“売れる条件”が整った「iPhone SE(第3世代)」 市場への影響は?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
約2年ぶりとなるiPhone SEの新モデルが3月18日に発売される。もともと同モデルは、過去に人気の高かったiPhoneの本体デザインをそのまま利用しつつ、中身、特にプロセッサを最新のiPhoneにそろえているのが特徴だった。約2年間売れ続けたロングセラーモデルだっただけに、第3世代にも期待が集まる。
5Gに対応し通信速度も向上、上位モデルとはMIMOに違いが
比較的コンパクトなボディーながら、先に述べた通り、プロセッサは最新のiPhoneと同じA15 Bionicを採用しているため、処理能力は非常に高い。全体的なパフォーマンスはメモリの容量やストレージの方式などにも依存するため、公開されている情報だけでは確定したことは言いづらいが、処理能力の高さはiPhone 13シリーズ譲り。ミドルレンジモデル並みの価格帯だが、部分的にハイエンド相当の実力を持っているというわけだ。
カメラはデュアルカメラやトリプルカメラのiPhone 13シリーズとは異なり、12メガピクセルのシングルカメラだが、A15 Bionicを搭載しているため、逆光などを強力に補正する「スマートHDR 4」や、人物の肌のトーンを残したまま写真全体の色調やコントラストを変える「フォトグラフスタイル」などの機能には対応する。シングルカメラながら、機械学習を活用したポートレートモードも使用できる。
それ以上にインパクトがあったのは、iPhone 8までと同じボディーで5Gに対応していることだ。対応するのはSub-6のみだが、ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルが運用するミリ波以外の周波数帯は一通りカバー。iPhone 12シリーズやiPhone 13シリーズと同様、自動的に4Gと5Gを切り替える「スマートデータモード」に対応する。5Gで通信している場合のみ、FaceTimeや動画を自動的に高画質になる点も、iPhone 12シリーズ以降の5G対応のiPhoneと共通した仕様だ。
ただし、アンテナの実装などに限界があったのか、Sub-6は他の5G対応iPhoneとは異なり、MIMOが4×4ではなく2×2になっている。そのため、4Gよりは高速化するものの、理論値は他の5G端末より見劣りすることになる。例えば、ドコモの場合、iPhone 13シリーズでは下り最大4.2Gbps、iPhone 12シリーズは下り最大3.4Gbpsに対応しているが、iPhone SEは下り最大1.25Gbpsにとどまっている。スループットも、一定程度は落ちるはずだ。
とはいえ、それでも2×2 MIMOでの4Gよりは速度が高く、FaceTime HDや動画の高画質化をはじめとした5Gならではの機能が使えるのは第2世代までのiPhone SEにはない利点だ。今後、エリアがさらに広がっていくことを加味すれば、大手キャリアを利用するユーザーが5G対応モデルを選ぶ価値は十分あるといえる。この価格帯のiPhoneがついに対応したことで、5Gの普及に弾みがつきそうだ。
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