非対面で海外用Wi-Fiルーターをレンタル 1日770円〜でデータ使い放題の「WiFiBOX」
テレコムスクエアが、4月1日から海外向けモバイルWi-Fiルーターの自動レンタルサービス「WiFiBOX」を提供する。ルーターのレンタルから返却までを非対面で行える。1台で複数回線に接続できるバーチャルSIMを採用しており、世界130の国と地域に対応している。
テレコムスクエアが3月30日、海外向けモバイルWi-Fiルーターの自動レンタルサービス「WiFiBOX」を発表。4月1日から提供する。
同社が提供してきたWi-Fiレンタルサービス「Wi-Ho!(ワイホー)」は、空港に設置されたカウンターや宅配でレンタルや返却の手続きをする形だが、WiFiBOXは、モバイルWi-Fiルーターの予約、受け取り、返却の全てが非対面で完了することを特徴としている。
まずはWebサイトで料金プランを申し込む。続いて、ボックスのディスプレイに表示されたQRコードを読み取ると、ボックスのスロットからWi-Fiルーターを引き抜けるようになる。返却後はルーターをボックスに差し込むだけでよい。WiFiBOXは4月1日から成田空港、羽田空港、関西空港の計8箇所に設置し、設置場所は順次拡大していく。なお、ルーターの返却場所は借りた場所と異なるボックスでも問題ない。
レンタルできるルーターはモバイルバッテリーとしても利用できる。本体充電用のUSBケーブルに加え、スマートフォンを充電できるよう、Lightning、Micro USB、USB Type-Cの3ケーブルを内蔵している。5000mAhのバッテリーを内蔵しており、モバイルWi-Fiルーターとして最長約12時間稼働する。バッテリー残量が10%を切ると、給電機能がオフになり、Wi-Fiとしての機能を優先させる設計になっている。
モバイルWi-Fiルーターは日本を含む世界130以上の国と地域に対応しており、4Gまた3Gの通信を利用できる。1日あたりに利用できるデータ容量は500MB、1GB、無制限の3種類から選べる。利用料金は500MBが300円から、1GBが550円から、無制限が770円から。
500MBが980円から、1GBが1180円から、無制限が1750円からのWi-Ho!と比べても安いが、テレコムスクエア取締役 兼 通信営業本部長の田村正泰氏によると、WiFiBOX自体が在庫格納器なので在庫を管理する必要がなくなり、オペレーションコストを約20%削減できたことが大きいという。
Wi-Ho!では大容量通信のニーズが増している。無制限プランを選ぶユーザーが2019年は20%だったところ、2021年は約50%に増加していることから、「大容量プランをリーズナブルにしたい」(田村氏)との思いもあった。
さらに、2022年4月1日から2023年3月31日まで、Visaカード会員向けに、ルーターのレンタル料金を最大15%オフになるキャンペーンも実施する。
もう1つ、Wi-Ho!との大きな違いとして、WiFiBOXではバーチャルSIM(クラウドSIM)を採用することで、1台のルーターで複数の通信回線をカバーできるようになった。バーチャルSIMは米SIMOとの協業によって実装している。通信速度は下り最大150Mbps、上り最大50Mbps、最大接続台数は5台。
ルーターを格納するボックスは、コンビニや駅などに設置されているモバイルバッテリーのシェアリングサービスから着想を得た。これにバーチャルSIMの技術を合わせることで、世界初(同社調べ)の、Wi-Fi自動レンタルサービスを商用化できたとする。
Wi-Ho!では、これまで、ルーターとケーブル、変換アダプターをまとめたポーチを渡していたが、「荷物がかさばる」という声が多かったという。またカウンターでの待ち時間が長いこと、渡航先によってルーターが異なるので使い方が分からない、対面での接触機会があることも不満点として挙がっていた。
一方、WiFiBOXなら荷物はルーター1台のみでコンパクトに収まり、カウンターでの待ち時間も発生しない。ルーターは1台のみなので操作法も変わらず、対面での接触機会はない。WiFiBOXは「旅本来の楽しさに集中できる環境を作ること」をミッションとしており、「スマートな体験を提供できれば」と田村氏は言う。
WiFiBOXは日本でも利用できるため、訪日外国人もターゲットとなる他、日本人向けにも利用シーンを拡大していく。例えば、リモートワーク向け施設にはフリーWi-Fiがあるが、セキュリティの問題からフリーWi-Fiは利用できない企業が多いことから、そういった施設にWiFiBOXを設置して、業務用に使ってもらうことも想定している。
2019年まではインバウンドとアウトバウンドのビジネスが堅調に伸びており、2019年にはWi-Fiレンタル市場全体で500万ユーザー、300億円ほどの市場規模に及んだ。テレコムスクエアも2019年に過去最高益を上げるなど好調で、同年にWi-Fiレンタルサービスの利用者は100万人にまで伸びた。
一方、コロナ禍によって2020年から海外渡航者と訪日外国人が急激に減ったことで、テレコムスクエアの携帯レンタル事業も打撃を受けた。それでもWiFiBOXでは「数億円規模の投資」(田村氏)を行い、2024年に日本からの出国者が年間1000万人だった場合、そのうちの10%となる100万人の獲得を目指す。
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