中古スマホの故障を“予知”して同一機種と交換 独自診断アプリ付き「NewsedPhone」(1/2 ページ)
中古スマホ事業を行っているニューズドテックが、スマホ故障診断アプリ「スマホカルテ」をプリインストールした「NewsedPhone」を販売。スマホカルテで故障診断し、“故障前サイン”が出たら、原則、同一端末と交換できる。故障を自分で調べたり店舗に出向いたりする負担を軽減する。
中古のスマートフォン、タブレットを中心としたモバイル端末の販売、買い取り、レンタルを行っているニューズドテック(旧:携帯市場)は、独自にスマホ故障診断アプリ「スマホカルテ」を開発。このアプリがプリインストールされた「NewsedPhone(ニューズドフォン)」を、3月30日にニューズドテックの公式サイトで販売開始した。
故障前サインが出たら同一機種と交換できる
NewsedPhoneは、端末に保証サービスが付帯している形となっており、保証サービスの契約期間は2年間。購入する際は、端末代金に加え、それぞれの端末代金に応じた「NewsedPhone月額利用料」(税込み300円から)を支払うことになる。また、初回は登録料3300円(税込み)も必要だ。決済方法はクレジット決済のみ。
スマホカルテで故障診断し、“故障前サイン”が出たら、原則、同一端末と交換できる(ない場合は同等機種)。交換回数は契約期間内で1回まで。一部、自己負担が発生する。端末の交換時には保証サービス契約の再登録と解約を選択でき、途中解約も可能だ。
2年間で端末の交換が行われなかった場合は端末を無償で交換でき、契約満了時にアプリ経由でお知らせが届く。端末の交換可能期間は25カ月目の1カ月間。
スマホカルテがプリインストールされるNewsedPhoneは、iOS 12.0以上のiPhone、Android 9.0以上のAndroid端末となっている。将来的には、ニューズドテックが提供する全ての中古スマホ、中古タブレットを対象としていく考えだ。アプリにIMEI(端末識別番号)など必要な情報をプロフィール登録し、診断テストを行うことで保証サービスを受けることが可能になる。
スマホカルテでは、端末の劣化につながるとされる最大24項目(Androidの場合は最大27項目)をチェックできる。バッテリー診断ができることが特徴で、「バッテリー劣化予測グラフ」(5月以降提供予定、一部有料)も表示できる。なお、アプリは5月末までには、App Store、Google Playでもダウンロード可能になる。
中古スマホの不安は払拭できていない
NewsedPhoneの事業説明会では、代表取締役社長の粟津浜一氏が新サービス導入の背景を説明した。
総務省が2022年度中にマイナンバーカードのスマホへの搭載を目指すなど、スマホはインフラといっていいほど重要なツールとなっている。スペックが上がるとともに価格も上昇。それらに伴って、購入後長く使われるようになり、内閣府が2021年3月に行った「消費動向調査」によると、スマホの平均使用年数は4.3年になっている。それは裏を返せば新品のスマホが売れにくくなっているということ。また、スマホにかかるコストを抑えたいというユーザーの気持ちの表れともいえる。
また、2020年に総務省が公表した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」では、納得感のある料金プランやサービス実現のための施策として、通信料金と端末代金の完全分離などと共に「中古端末を含めた端末流通市場の活性化」も含まれている。
こうした状況もあって、中古端末は選択肢の1つとして確立されつつある。中古スマホ市場は右肩上がりで、今やキャリアも認定中古スマホを扱う時代になった。粟津氏は「新品と中古がミックスされる市場。認定中古車を扱う車の産業にスマホも近づいてきた」と語った。
中古スマホ市場が拡大する一方で、課題もある。ユーザーの中古端末を使いたくないという考える理由として「バッテリーの持ちが悪そう」「きちんと動作するか分からない」「故障時などの保証がなさそう」などの意見が挙がっている。
その課題解決のために、粟津氏が理事長を務める業界団体リユースモバイル・ジャパンではガイドラインを策定し、中古端末の格付基準や端末内の利用者情報の処理方法などを規定。ガイドラインに準拠している企業を認証する制度も作り、店舗に認証マークを表示するなど、中古端末に対する不安払拭に努めている。
「しかしながら、不安は拭えていない」(粟津氏)。ユーザーは相変わらずバッテリーを気にしつつ、故障時には原因を調べたり、修理店舗に出向いたりして使っている。その状態は「時間的、空間的、金銭的ストレスが多い」と指摘する。
そこで、端末の不調やバッテリーの劣化を予知し、それをフックに端末交換を促すことでユーザーのストレスを緩和し、引いては市場の活性化にもつながるものとしてスマホカルテを開発したという。
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