ソニーのワイヤレスイヤフォン「LinkBuds」を試す 穴あき構造は“ながら聴き”に向くのか(2/3 ページ)
ソニーが2月25日に発売した「LinkBuds」を入手した。振動板の中心部がくりぬかれたドライバーユニットと「ソニー史上最小、最軽量」をうたうボディーが特徴だ。さまざまなシーンや音で聞き比べてみた。
かゆいところに手が届く機能も
使い勝手の面では、声を発すると自動で再生中の音楽を停止、消音する「スピーク・トゥ・チャット」、周囲の環境音が大きいときにはボリュームを上げ、収まったときにはボリュームを戻してくれる「アダプティブ・ボリューム・コントロール」を搭載。まさにかゆいところに手が届くような機能だ。
では手動で再生・一時停止、曲送り、曲戻しをするにはどうすればいいのか? それは「ワイドエリアタップ」という機能で解決する。LinkBudsにはタッチセンサーでなく、モーションセンサーを内蔵している。耳の周辺をポンポンとたたけば、それをセンサーが検知して、上述した動作を行える。
- 2回タップ→再生・一時停止
- 3回タップ→曲送り
ソニーによると、センサーで耳に近い部分の振動を検知しているものの、微細な振動により意図しない誤操作につながることはないという。
……が、どうしても「誤動作するのではないか」と気になる場合は、「Sony | Headphones Connect」アプリからオフにできる。左右個別に音量アップ・ダウン、音声アシスタント呼び出しなどを登録することも可能だ。
オンラインとオフラインが融合する楽しさ
オンラインとオフラインがリンクする――との触れ込みも、LinkBudsの持つ穴あき構造を生かしたものだ。その具体的な体験を2つ紹介しておこう。
1つは、ソニーが提供するSound ARアプリ「Locatone」にも対応したこと。これは、周囲の音と仮想世界の音が混ざり合うことで、新感覚の音響体験が楽しめるというもの。一般的なイヤフォンでも使えるが、ヘッドトラッキングに対応したLinkBudsなら、臨場感ある立体音響体験が楽しめるのが特徴とのこと。
それに関連して、YOASOBIの新曲「大正浪漫」と、原作小説の世界観を体験できるエンタメ企画「YOASOBI SOUND WALK」が、3月31日まで全国5カ所で開催されていた。事前に必要なデータをアプリでダウンロードして使う。スマートフォンの位置情報と連動して音声コンテンツが配信され、特定の場所に到達すると自動で音声が流れる。つまり、LinkBudsをつけて街歩きをしながら、大正浪漫の世界観を楽しめるというものだ。
筆者も実際に東京(有楽町・日比谷・銀座)エリアを歩いてみた。全12章で構成されるこのコンテンツは、音楽と物語がマッチしている。しばらく歩いていると、「カラン、カラン」とげたの音が聞こえるなど、どんどん読み進めたくなるような仕掛けもあった。
まさに物語の登場人物に思いをはせながら、散歩ができるといった方が、イメージしやすいだろうか。
このような”ながら聴き”の体験は、ゲームとも関係してくる。
ソニーは位置情報を活用したARゲームで知られるNiantic(ナイアンティック)との協業も発表しており、2022年内にAR位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」との連携を実現する方針を示している。それによれば、周囲の音とゲームの音が混ざり合い、よりARゲームの世界観を楽しめるそうだ。具体的な発表に期待したい。
もう1つは、LinkBudsと「Microsoft Soundscape」アプリ日本語版(iOS向け)との組み合わせで、音声案内だけで目的地にたどり着けること。
一般的なイヤフォンやヘッドフォンでも使用できるが、ヘッドトラッキング機能を備えた製品にも対応しているため、LinkBuds、AirPods Pro、AirPods Max、音声AR対応サングラスの「Bose Frames Alto/Rondo」でも使える
このアプリでは、スマートフォンのGPSや位置センサー、アクティビティセンサーで認識した自己位置や周辺の情報などを、音声で案内してくれる。例えば、交差点にたどり着くと、その近くに何があるのかを教えてくれるので、不慣れな場所でもこれを頼りに行くことができるというわけだ。
視覚障害者の歩行をサポートしたり、昨今の社会問題である『歩きスマホ』を減らしたりできるのではないかと筆者は考える。
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