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総務省の施策で本当に“乗り換え”は進むのか? MVNO復活に必要なこと(前編)モバイルフォーラム2022(2/3 ページ)

テレコムサービス協会 MVNO委員会は3月18日、「モバイルフォーラム2022」をオンラインで開催した。テーマは「リベンジ・今こそMVNOに乗り換える〜GoTo MVNO2.0〜」。パネルディスカッションは、「激動が続くモバイル市場 MVNOが復活を果たすために必要なことは?」と題し、大手キャリアの動きや総務省の施策を議論した。

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端末の周波数問題は「総務省の失策になりかねない」

 パネルディスカッションで最初に議論されたテーマは「総務省が進めてきた“乗り換え促進”施策」についてだ。取り上げた要素は「SIMロックの原則禁止」「MNP手数料の無料化」「eSIM」「キャリアメール持ち運び」の4つで、これらは総務省の「スイッチング円滑化タスクフォース」でも議題に挙がっていた大きなテーマだ。

モバイルフォーラム2022
総務省の4つの乗り換え促進施策について議論した

 2021年10月以降に発売する端末に関しては、SIMロックはかけずに販売されるようになった。3キャリアは春頃から一部の機種に試験的に導入。9月に発売されたiPhone 13シリーズで足並みをそろえ、3キャリアもSIMロックしない状態で販売。10月以降発売の端末は、SIMロックなしで販売されている。

 SIMロックがかかっていないことはユーザーのメリットとなり、乗り換えを促進する面もあるが、一方で、キャリアの端末によって対応周波数が異なり、他キャリアのSIMを挿して使うとパフォーマンスが上がらない場合があるという課題が浮き上がってきた。この件は、3月14日に行われた総務省の有識者会議「競争ルールの検証に関するWG」(第26回)でも議題に上がった。

 北氏は「2021年にも消費者団体から指摘があった」と説明。当時、キャリアとメーカーにヒアリングしたところ、両者とも周波数の対応を強制している/させられていることは「ない」と回答。全キャリアの周波数に対応するとなると、検証にかかるコスト、場合によってはハードウェアのコストが「誰の負担になるのかという話になり、そこでいったん引いて、現状を注視しようという話になった」(北氏)という。

 今回議題に挙がった背景には、とある政治家からの指摘があったようだ。総務省も取り上げざるを得なくなり、再び持ち上がってきたという。総務省が海外の状況を調査しており、米国と韓国では「Android端末に関しては、キャリア端末は当該キャリアの周波数のみ対応するのは基本となっている。欧州は分からないが、日本だけ全周波数に対応せよということは、ないのではないか」と北氏は認識している。

 落とし所が難しい問題で、しかも「最終的には総務省の失策ということになりかねない」と石野氏は指摘する。

 「検証にかかるコストとは、技適を取るためのコスト。さらにさかのぼると、キャリアに同じような周波数を割り当てていれば、そもそも周波数の差異は生まれなかったという話になる。(それらは総務省が管轄してるので)深掘りしていくとブーメランが総務省に返ってくるような気がする」(石野氏)

 キャリアもメーカーも自由競争の上でビジネスをしている。端末のスペックを決めるのは、あくまでキャリアとメーカーだ。全周波数対応を強制することはさまざまな面で難しさがある。石野氏は「結局うやむやになるのでは」と予想する。

 「(キャリアを変わると端末が)全く使えないのであれば話は別だが、使えることは使える。また、全周波数に対応したからといって、ユーザーが端末はそのまま、どんどんキャリアを移行するかも疑問。周波数の対応を気にしている人は既に理解していてiPhoneを選んでいると思う」(石野氏)

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