楽天モバイルが全47都道府県を順次、自前回線エリアに――プラチナバンドはいつ手に入るのか:石川温のスマホ業界新聞
楽天モバイルが、都道府県で自前回線への切り替えを開始した。同社は2023年度中にau(KDDIと沖縄セルラー電話)の4G LTEネットワークへのローミングを原則として終了したいとしているが、現状では厳しい面もある。いわゆる「プラチナバンド」を手に入れることが重要となるだが、うまく行くかどうかは未知数だ。
楽天モバイルのKDDI 4G LTEローミングエリア情報が更新された。4月1日以降、岩手県、山形県、山梨県、和歌山県、島根県、高知県、長崎県、鹿児島県でもローミングが順次終了することが明らかになった。これにより、日本の全47都道府県で順次、楽天回線に切り替えていくことになる。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年4月9日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
楽天モバイルの矢澤俊介新社長によれば「いま、楽天モバイルは地方での新規契約が伸びている」という。ローミングエリアだった地方においてはローミングで使えるのは5GBという制限があり、これで2178円(20GBまでの扱いとなるので)では割高感があった。
しかし、楽天モバイルの自前回線エリアに切り替えることで、使い放題のメリットが得られるようになり、ユーザーが一気に増えるというわけだ。
楽天モバイルでは地方だけでなく、公共交通機関のローミング打ち切りにも注力している。東京メトロにおいては4月1日以降、渋谷〜表参道間、青山一丁目〜永田町間も楽天回線に切り替わる。これにより、今後もローミングを継続する駅は人形町駅、渋谷駅、茅場町駅、目黒駅、八丁堀駅などに絞られていく。
また、東海道新幹線においても全66トンネルのうち、46トンネルは楽天回線に切り替える予定だとしている。
矢澤俊介社長は「一刻も早くカバレッジを広げて、KDDIのローミングを切らせていただく。契約は数年残っているが、来年度中には屋外の契約は切りたい。屋内、商業施設、ビルなどは工事に時間がかかり、しばらくローミングは継続するが、屋外は来年度中はゼロにするつもりだ」と語る。
ただ、2021年度中に楽天回線エリアに完全に切り替わるはずだった千葉県と神奈川県においては2022年4月以降も一部、ローミングエリアが継続することが明らかになった。楽天モバイルの計画通りには進んでいない可能性がある。
矢澤社長の「2023年中には屋外のローミングを打ち切りたい」という発言について、KDDI関係者は「そうはいっても、今後、しばらくはローミング提供は続くのではないか。なかなか厳しいと思う」と語る。
KDDIから見れば楽天モバイルは、接続料を支払ってくれる「大事なお客様」であり、すぐにローミングを辞めてもらっては困るのだ。
楽天モバイルでは、400名の営業チームがフェムトアンテナを毎日、200〜300台、設置して回っているらしいが、屋内対策には限界があるし、いつまで経ってもローミングに頼るわけにもいかない。
楽天モバイルとしてはプラチナバンドの獲得に動き出しているようだが、岸田政権はどのように判断するのか。これが菅政権時代であれば、スピーディに話が進んだのだろうが、岸田政権は検討だけで終わってしまうことも考えられる。
菅義偉氏の復活が待ち望まれるのではないだろうか。
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