今、外部メモリスロットを備えたスマートフォンが減っている理由(2/2 ページ)
近年のスマートフォンでは、Android端末でもSDカードを使用できない機種も多く存在している。比較的高価なスマートフォンにてSDカード利用できない機種が多いが利用できなくなる傾向にあるのか、少し掘り下げてみようと思う。
コンテンツのオンライン化、スマホ本体の大容量化も背景に
各種音楽ストリーミングサービスの台頭、高速通信網の整備による動画配信などが当たり前になりつつあり、以前のように「microSDに音楽や映画を入れて持ち歩く」ことも減ってきている。
撮影した写真や動画もクラウドサービスへアップロードして、どの端末でも閲覧できることも一般化しつつある。iPhoneだと「iCloud」がおなじみで、iPhoneに最適化されたシームレスな挙動が売りだ。
かつてのような「アプリは本体ストレージ、写真や動画はmicroSD」という考え方は廃れつつある。microSDは上記に記した通り速度面のネックになる点もある上、故障率も本体ストレージに比べて高い。
特にハイエンド端末においては最低容量が128GBとなり、iPhoneを始めとした機種では1TBの容量を持つものも現れた。サムスン電子やXiaomiのハイエンド機種も、海外では複数の容量にて展開しており、ユーザーが必要に応じた容量で選ぶことができる。
現在のトレンドとしては「アプリは本体ストレージ、写真や動画はクラウドサービスに自動バックアップ」へと各社移行している。端末の容量も最低128GBがスタンダードになりつつあり、世界的にはハイエンド端末で「microSDが必須」という状況ではなくなってきている。メーカーとしてはハイエンド端末で128GBの容量+自社や提携のクラウドストレージを利用するか、より大容量の機種を選ぶかという所だろう。
日本ではメーカーが考える売り方と、キャリアの展開方法がどうにも合わないところがある。キャリアの意向もあって、基本的にAndroid端末では容量は1種類の展開となる。加えてXperiaのように、キャリア向けモデルの容量がSIMロックフリーモデルよりも少なくなっている機種もある。
消費者に選ぶ自由がないことから、microSDが利用できない端末では不安と感じるユーザーも多いだろう。
一方では安価な機種でmicroSDが利用できるものも多い。その理由として考えられるのが、ストレージ性能よりもプロセッサ性能がボトルネックになることから、高規格のストレージを必要としない点、プロセッサの発熱もハイエンドに比べれば少ないものになり、冷却機構の簡略化も可能な点だ。実装部品も少なく、カメラ性能も抑えることで省スペース化も図れる。結果として、本体にはmicroSDスロットを配置できる余裕が生まれる。
ストレージも64GB設定と安価にすることで、それ以上の容量はユーザーがmicroSDで拡張するという使い方をメーカーとしても推していくものとなる。
ただ、安価な機種でもPixel 5a 5GやRakuten Hand 5Gなど、外部メモリスロットが利用できない機種も登場している。安価ではないがスペックはミッドレンジのBALMUDA Phoneも外部メモリスロットは搭載していない。
「microSDが使えるからAndroid端末を選ぶ」という選び方も、このような流れが続けば数年後には選択肢が少なくなると考えられる。microSDを利用できる点はAndroidスマートフォンを選ぶ理由の1つともいえた部分だが、この考え方が主流だった時代から変わりつつあるといえる。
関連記事
- 今、スマートフォンのストレージが64GBでは厳しいと思う理由
日本でも5Gのサービスが始まってから2年が経過した。高速かつ大容量の通信インフラ下での利用を前提としたリッチコンテンツが登場し始める中、ストレージ容量不足という声も多く寄せられる。お使いのスマートフォンの本体容量について、再考してみる時期が来たといえる。 - 今、あえて「イヤフォンジャック」付きのスマホを選ぶべき理由
近年ではイヤフォンジャックのないスマートフォンが多く販売されている。一方で、XperiaやROG Phone 5など、イヤフォンジャックを備えたスマートフォンもある。有線イヤフォンを使うメリットは、高音質や長時間再生、動画やゲームなどでの音声遅延を抑えられることが挙げられる。 - ソニーが「Xperia 1 IV」発表 可変式望遠レンズが光学ズームに対応、全レンズが“高速”に
ソニーがXperiaスマートフォンの新モデル「Xperia 1 IV」を発表。2022年6月上旬以降の発売を予定している。望遠カメラが、85mmと125mmの焦点距離を光学ズームで撮影できるようになった。超広角と望遠のレンズも120fps読み出しに対応し、瞳AFやオブジェクトトラッキング、20コマ/秒の高速連写が利用できるようになった。 - シャープが「AQUOS R7」を発表 刷新した1型センサーカメラ搭載、AFが高速に
シャープが5月9日、スマートフォンAQUOSの新モデル「AQUOS R7」を発表。2022年7月以降に発売する。ライカと共同開発した1型センサーのカメラは、AFが高速になり、ポートレートモードも刷新した。5G通信機能も拡張しており、Sub-6とミリ波の周波数を束ねてさらに高速化を図るDual Connectivityに対応した。 - 本音レビュー:「iPhone 12 mini」から「iPhone 13 mini」に乗り換えて分かったこと
9月24日に発売された「iPhone 13 mini」だが、前モデルの「iPhone 12 mini」とはどう違うのか。サイズやカメラ機能、バッテリーの持続時間を、筆者なりに検証してみた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.