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「不適切な販売どうして放置?」「5Gで特徴的なサービスがない」 KDDI株主総会で指摘、高橋社長の答えは?(2/3 ページ)

KDDIは5月22日、第38期定時株主総会を開催した。2022年から2024年は5Gを中核に据えて事業変革を推進する。新中期経営戦略では、事業戦略を「サテライトグロース戦略」と位置付け、本格化を迎える5Gを中心に置き、通信を核とした注力領域を拡大していく。株主からの質問では、不適切な販売や3G停波後の影響、5Gサービスの今後について指摘があった。

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携帯販売について「ルールはルールなのでしっかり守る」

 総会では、事前に送られたもの、当日会場に来場した株主の質問に、担当役員が回答した。主なものは以下の通りだ。

―― キャッシュレス決済における不正利用が社会問題となっているが、au PAYやau IDの不正利用防止のために、セキュリティ向上に向けてどのような取り組みを行っているのか。

KDDI
執行役員 副社長の村本伸一氏

執行役員 副社長 村本伸一氏 不正利用の防止策として、3つの対策を実施している。1つ目はau IDのログイン時やauかんたん決済の利用時にお客さまの携帯電話にSMS、あるいはメールを送信する2段階認証。2つ目は、決済を本人名義の端末からの通信に限定をする回線認証。3つ目は契約端末にSMSで確認コードを送るSMS認証。さらに、au IDのログイン時にFIDO2という生体認証の標準に準拠した指紋認証や顔認証も提供している。

 お客さまに対しての啓発活動も実施。さらには専門的な訓練を受けたセキュリティエンジニアが24時間365日の体制で監視しており、セキュリティインシデントが発生したときは専門組織が社内各部門と連携し、迅速に対処する体制を整備している。

―― エネルギー事業において、燃料価格の高騰などにより継続的な収益確保が難しいと思われるが、今後どのような戦略で推進していくのか。

村本氏 エネルギー事業は、新中期経営戦略における注力領域の1つ。今年(22年)4月、事業強化を目的とし、中間持ち株会社「auエネルギーホールディングス」を設立した。7月にはKDDIが営んでいる電力小売事業をこちらに切り出すとともに、子会社のエナリスも含め、エネルギー事業全体をauエネルギーホールディングス配下に集約していく。

 小売事業における燃料価格の高騰に対しては、価格が固定的な相対電源をおおむね確保しており、収益の安定化を図っている。auでんきを契約いただいたお客さまのauの解約率は大幅に低減するなど、エネルギービジネスはお客さまのエンゲージメント向上に大変資する効果がある。2022年3月末には契約者数も338万件となり、堅調に推移している。

―― 2022年3月末をもって3Gサービスの提供を終了したが、加入者数への影響はどのくらいあったのか。また、3G終了を契機に解約や他社へ転出したユーザーが、au、UQ mobile、povoへ戻ってくることを見込んでいるのか。

村本氏 3G通信サービスは、長年にわたり多くのお客さまにご利用いただいた。おかげさまで大きなトラブルもなく、他社に先駆けて3Gサービスを終了できたことは、当社にとって次につながる大きな成果であり、お客さまのご理解、ご協力に心より感謝申し上げる。

 加入者数への影響について、具体的な数値の回答は控えるが、ダイレクトメールなどを活用し、十分な余裕を持ってさまざまな形で案内に努めてきた。その結果、対象となるお客さまほぼ全員に案内できたと考えている。加入者数への影響も想定の範囲内に収めることができた。解約や他社へ転出されたお客さまが一定数いらっしゃったことについては真摯(しんし)に受け止めている。

―― 巨大地震など未曽有の大災害が発生した場合の事業継続計画(BCP)について教えて欲しい。通信インフラへの長期的かつ甚大な影響も考えられるが、そのような事態に備えどのような対応策を準備しているのか。

村本氏 当社ではBCPを策定し、毎年定期的に大規模災害を想定したさまざまな訓練を実施し、体制の整備、対応力の向上に努めている。通信のネットワーク環境に関しては、複数ルート化により通信網の高信頼性を確保するとともに、車載基地局や移動電源車、非常用発電機などの配備増強により、災害耐性を強化している。

 重要システムや監視体制については、東日本と西日本エリアに分散させ、24時間365日の常時監視により、システムの健全性を確認しながら、設備管理を徹底する体制を整えている。毎年の災害対策訓練では、首都直下型地震や南海トラフ地震、富士山噴火などさまざまなケースを想定したシミュレーションを行い、課題や問題点の洗い出しとその改善を繰り返している。

―― 国産のSNSや検索エンジンなど、国産クラウドについてどう関わっていくのか。

高橋氏 国産クラウドの議論がされているのは承知している。GAFAが持っているクラウドの規模や仕組みが充実していることから、日本企業も多く活用している。今後、いろいろんな民間企業が連携し、お客さまの情報をしっかり確保しながら、そういうサービスを提供できるかどうかは今後、議論されると思っている。われわれも当然、その議論の中に入って可能性について模索していきたい。できるかできないかは、まだ今の段階でははっきり申し上げられないが、議論には参加し、取り組んでいきたい。

―― 携帯電話の売り方が問題になった(端末単体販売の拒否や、回線と結び付かない購入時における端末購入サポートの提供拒否)。それについて役員は把握していたのか。把握していたのなら、どうして放置していたのか。今後どういう風に販売していくのか。

KDDI
執行役員 副社長の雨宮俊武氏

執行役員 副社長 雨宮俊武氏 KDDIとしては、店頭において、お客さまの要望に沿った適切な案内を行うよう、代理店さんにお願いしているが、一部の代理店において、このような事例が生じていると承知している。分かればすぐに対応するようにはしているが、どうしても遅れてしまうことがある。この点については非常に重く受け止めている。今後このようなことがないように、法令に沿った適切な販売が行われるように、引き続き代理店店舗の教育指導に注力していく。適切な販売は行われるよう、社内外の啓発活動を通じて正しい店舗運営に努めていく。

高橋氏 ルールはルールなので、しっかりと守っていく。申し訳ございません。

―― ミャンマーにおけるモバイル事業は現状、どうなっているのか。今後、この事業をどうするつもりなのか。

雨宮氏 2年前のクーデター以降、非常に厳しい状況が続いているが、現地の状況はかなり落ち着いてきている。以前ほどではないが、事業としてはかなり回復してきている。ミャンマーの人々にとって必要不可欠な社会インフラである通信インフラをしっかりと継続して提供していくことが非常に重要なことだと思っている。現時点では、ミャンマーでの事業は継続していくと考えている。一方で、従業員の安全にも十分配慮し、その他いろいろな不慮の事態にも注意しながら進めていきたい。

―― ライフデザイン領域は、au PAYのポイント還元や電気の調達価格高騰の影響もあって、あまりもうかっていなのではないか。

雨宮氏 ライフデザイン領域の利益は順調に伸びている。金融、エネルギー、スマートパスを中心とするLX分野、こういうところでしっかりと利益を出しており、順調に伸びている。ご指摘の通り、au PAY、エネルギー事業については、それほど利益率が高いわけではないが、この事業については通信事業へのシナジーが大きく、au PAYやエネルギーのサービスに加入していただくと、通信事業に非常にいい影響が出る。会社全体としては、いろんなところで利益を出している。

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